仏NetflixとAmazonがテレビ局とタッグ。

フランスの民放テレビ局・TF1は、Netflixと提携し、来年(2026年)夏から5つのテレビチャンネルをNetflixでも配信すると発表しました。また、3万時間に及ぶコンテンツをオンデマンドで提供します。


テレビとネットの融合が進み、両者を区別して考えること自体がナンセンスになってきているのかもしれません。テレビのチャンネルを切り替えるのと、Netflixの中で切り替えるのはいったいどんな差があるのか。もちろんネットのほうが膨大なコンテンツとの競争にさらされることになりますが、あえてその海に飛び込むことを選びました。

TF1はネットへの進出に消極的だったわけではなく、2003年にはADSL回線を使った動画配信を始めていたとのこと。2011年には「MYTF1」という名前でテレビチャンネルの同時配信や見逃し配信、また有料サービスも開始しています。


昨年1月には広告付きの無料配信サービスである「TF1+」を開始。これは日本で言えばTVerのようなものでしょうか。最初はフランス国内でのサービスですが、今後はフランス語圏の他国にも進出する計画だとしています。なお、NetflixでもTF1+のコンテンツが視聴できるようになるとのことです。

この動きに続いて、フランスの公共放送・フランステレビジョンもAmazonとの提携を発表。こちらは来年からではなく、発表直後の7月3日からさっそくサービスが開始されており、5つのチャンネルがPrime Videoでライブ配信されています。現在開催中のツール・ド・フランスも追加料金なしで視聴できるようになりました。

話を日本に向けると、10月から放送法が改正されることにともない、NHKのインターネットを活用した業務が必須化されることになります。それに合わせて「NHK ONE」という新サービスが開始予定です。それと同時に、インターネット視聴のみの受信料が設定されることが物議を醸しているわけですが、それはまた別の機会にでも取り上げます。


フランステレビジョンは受信料に加え広告も収入源となっており、売上の1割強は広告からとなっています。CMを流せるわけですから、Amazonなど民間業者と手を組み、収入をシェアすることができるわけですね。NHKにはなかなか難しいので、自前のサービスを開発せざるを得ないという部分はあるでしょう。個人的にはもうちょっと柔軟にできないかとは思いますが。

ちなみにフランスの受信料は税金と一緒に徴収されています。2022年までは「公共放送負担税」という制度がありましたが廃止され、現在は付加価値税(日本の消費税に相当)から交付金が支払われています。


NHKは赤字の拡大が報じられています。これは受信料の値下げと未納が増えていることが主な要因ですが、フランスのような税方式にすれば、少なくとも取りっぱぐれはなくなります。一方で、政府からの干渉が強くなるのでは、事実上の国営放送になるのではという懸念も出ています。ここはきちんと議論すべきところでしょう。

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