セ・パの格差は放映権一括管理の違い?
本日は「日刊SPA!」に掲載された以下の記事についてです。先の交流戦ではパ・リーグが1~6位までを独占し、セパの格差が浮き彫りになりました。その要因としてDH制の有無をあげる声が大きいのですが、この記事ではセ・リーグが「放映権の一括管理」を行っていないことを保守性の象徴だとし、その中でもDAZNと唯一取引を行っていない広島をやり玉にあげています。
【補足】8月4日、NPBは2027年からセ・リーグもDH制を採用すると発表しました。
まぁ、言いたい気持ちは分かるのですが、広島もDAZNがサービスを開始した初期には取引に応じていて、1年でやめてしまったという経緯があります。その理由として、DAZNが広島県内でのアクセスを制限する、いわゆるジオブロックの解除を求めたからだ・・・という記事が以前出ていたのですが、実際のところ取引自体を止めるほどの理由であるとは考えにくく、実際には他の要因があるのだと思いますが、真相は藪の中です。
あと、パ・リーグがPLM(パシフィックリーグ・マーケティング)社を通じて行っている一括管理はインターネット配信と海外向けの放映権が対象であり、テレビ中継については引き続き球団ごとの個別管理であることは補足しておいたほうがよいでしょう。
放映権の一括管理を行うメリットとしては、主に以下の点があげられます。
- 全球団の権利をセットで販売し、独占させることで価格をつり上げる
- 海外向けの販売がやりやすくなる
- 放映権料の分配を行うことができる
ただ、NPBにおいては現実的に1は難しいかな、と考えております。DAZNはともかく、スカパーやCATVでは12球団の全試合がすべて視聴できる環境が作られており、これを破壊して改めて1社に独占させるメリットは薄いと思われます。やるとすれば、PLMの取り組みをセ・リーグにも拡張させる方法になるでしょう。
それでも、2,3は一括管理を推進するには十分な理由となります。海外から選手を招き入れる際、その国でNPBの試合が視聴できるのは大事なことです。先日、プロ野球選手会がNPBにエクスパンション(球団数の拡張)を要望したという記事が出ましたが、エクスパンションを視野に入れるのであれば、放映権料を含めたレベニューシェアの仕組みは必須と言えます。
昨年の12球団の観客動員数をみると、もっとも少ない西武でも155万人を動員しています。今後新規に参入する球団があるならば、この数字がベンチマークとなってきます。
NPBの球団は具体的な経営情報を開示していないため詳細は分かりませんが、数十億円規模の損失補填が当たり前だったとされる時代とは違い、どの球団も黒字経営ができるようになったとは言われていますので、150万人程度動員できれば黒字化はできるでしょうが、現実として新潟や静岡では150万人をクリアするのは極めて困難としか言いようがありません。
経営を安定させる意味でも、また戦力の均衡をはかる意味でもレベニューシェアを検討する必要があると考えますが、ただまったくやってないかと言えばそうではないそうで、二軍の遠征費については全球団分をプールしたうえで清算しているのだそうです。これについては最近まで知りませんでした。無知ですみません。
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