ラグビー・NECが撤退へ&どうなる日産スタジアム
ラグビー・リーグワンの2部に所属する「NECグリーンロケッツ東葛」は、2025-26シーズン終了後にチームを譲渡する意向であることを発表しました。リーグと協力して譲渡先を探しますが、シーズン開幕までに見つからない場合は退会するとのこと。
リーグワンはプロ化に大きく舵を切ったものの、現時点では従来の実業団との「いいとこ取り」的なリーグです。NECは収入増加に務めたものの、それ以上に経費も増加したため、企業として支出する額はさほど変わらなかったとのこと。プロ化の旨みが得られないまま、実業団の目的である「従業員の一体感醸成や士気高揚」が薄れてきたことを撤退の理由にあげています。
ただ、4年前にNECが出したブレスリリースでは、自主興行を前提に「企業スポーツの新しい在り方の形成を目指します」と表明しており、違和感を覚えるのも事実です。このあたり、社内の意思統一がうまくいってないというか、勢力争い的なものも感じます。
ファンの方には実に申し訳ないのですが、こればかりは仕方ないと言いますか、チームオーナーの新陳代謝は常に起こり得るものです。実業団だといきなり解散というケースが目立つのですが、今回はまず譲渡を最初の選択肢にあげているだけ、だいぶ改善されたような気もします。
大企業の事情によっていきなり解散するというリスクが低減できれば、大企業がバックアップすることでの安心感も生まれます。ラグビーは海外のプロ選手でもなかなかよい待遇を得られておらず、代表クラスの選手が日本に多数集まる現象が生じています。これはバレーボールや女子ソフトボールなどにも見られる現象であり、競技によっては実業団をベースとしたゆるやかなプロ化のほうがマッチするのでしょう。
今年1月に開催されたNECグリーンロケッツ東葛のホームゲームでは、1万人を超える入場者数が記録されています。もちろん社員による動員も含まれているものと思われますが、それでもポテンシャルを感じさせる数字なだけに、関心を示す企業が現れることを願います。
経営が厳しいという話では、日産自動車も取り上げないといけません。傘下の横浜・F・マリノスを筆頭に、スポーツに関するスタンスをどうするかが問われているところです。マリノスの本拠地である日産スタジアムなど、横浜市内の施設についてはネーミングライツの契約が来年2月までとなっています。契約料は年間6億円とのことです。
契約更新については7月末が交渉期限だったそうですが、日産は返答していないとのこと。横浜市は9月に再度意向を確認するとのことですが、本社も横浜市にあり、長年にわたって地域密着を進めてきた日産がここで手放してしまうのは実に惜しい気もします。
以前紹介した、木村正明氏の著書『スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル』では、マリノスに対して親会社(責任企業)である日産自動車が支出している金額について、10億円程度との試算を出しています。これらはスポンサー収入として計上されており、いわゆる「赤字補填」はなさそうだとしています。この支出についても今後問われていきそうです。
ちなみに、日産スタジアムを含む新横浜公園の指定管理者としてもマリノスは名を連ねていますが、名義としては「一般社団法人F・マリノススポーツクラブ」となっており、クラブの運営法人(横浜マリノス株式会社)とは別になっています。なので、ネーミングライツの契約料の一部がマリノス本体に流れているというわけではありません。
0コメント