【WBS】Netflix、WBC無料配信を否定。
昨夜テレビ東京で放送されたWBS(ワールドビジネスサテライト)では、豊島晋作キャスターがNetflixの共同CEOであるグレッグ・ピーターズ氏に単独インタビュー。WBCの配信に関する質問では「会員のみに提供される」と回答し、事実上無料配信を否定しています。
また、日本における有料配信の可能性については「それはよくわからない」と言葉を濁しつつも、会員を満足させることができると自信をのぞかせました。まぁ、Netflixのここ数年の動きをふまえると、現時点では想定通りの回答だと言えるでしょうか。
3年前までのNetflixは「広告は入れない」「ライブ配信はしない」というポリシーを貫いてきましたので、驚くほどの急転換です。コロナ禍でストリーミング各社は特需となりましたが、それが一段落したとき、待っていたのは激しい競争、レッドオーシャンでした。価格を抑えるために広告が導入され、広告効果が高いコンテンツとしてライブ配信、とりわけスポーツが選択されています。
当ブログの6年前の記事では「相変わらずスポーツ中継に興味なし」と書いてありました。当時の私でも、いまのNertflixは想像できなかったでしょうね。
3年前には「広告つきプラン」が導入されました。いまでもSNSには「有料なのに広告を入れるな」といった批判が書き込まれますが、Netflixは「有料=広告なし」という空気を作った当事者の一部でもあります。自らその空気を変えていく努力が求められます。
そして、スポーツのライブ配信が始まったのは2年前のことです。最初はNetflix独自の大会を企画していましたが、やがて外部コンテンツの放映権も購入するように。グローバル指向は相変わらずですが、ローカルのコンテンツにも手を出し始めています。ひとつはアメリカで、2027年と2031年に開催されるFIFA女子ワールドカップの放映権を獲得したこと。そして、もうひとつが今回のWBCです。
今回のインタビューが実現したのは、日本でNetflixのサービスが開始されてから10年を迎え、記念イベントが開催されたことによります。タイミングがよかったと言うべきなのか、このタイミングに合わせてWBCの発表をしたと解釈すべきなのか。いずれにせよ、これから広告セールスを本格化させていくのであれば、開幕半年前のタイミングでも遅いくらいですが。
スポーツのライブ配信に手を出す前のNetflixは、スポーツドキュメンタリーに注力していました。アメリカでF1の人気を拡大させた"Drive to Survive"シリーズは有名です。日本発のコンテンツもグローバル展開していることをふまえれば、今後日本のスポーツをグローバルに向けて発信することにも期待したいところですが、さてどうでしょう。
今回のWBC放映権獲得の背景としては、Netflixが日本における広告ビジネスを本格化させたいという狙いもあるでしょうし、2029年以降のMLBの放映権獲得(アメリカ・日本ともに)を視野に入れた動きだととらえることもできます。ある意味、日本を実験場にしているとも言えますが、実験だからと言って失敗してよいわけでもありません。
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