米NBC、スポーツチャンネルを復活。

アメリカのNBCは、2021年に閉鎖したスポーツチャンネル「NBCSN」を復活させると発表しました。11月17日に放送を開始、最初の配信先としてYouTube TVと契約しました。その次には、(NBCの親会社である)Comcastの「Xfinity」で放送され、その後も順次契約を進めていくとしています。


ご存知の通り、YouTube TVはディズニーとの係争が発生し、ESPNなどのチャンネルが約2週間停止していました。このタイミングは偶然だとは思いますが、この契約が決まっていたことはYouTube側の態度を強気にさせる材料となっていたでしょう。

NBCSNの閉鎖は、CATVの契約者が減少していく中での整理の一環でした。自前のストリーミングである「Peacock」に顧客を誘導したいという意図もありました。NBCはオリンピックの権利を持っており、2021年の東京五輪を独占放送・配信しています。時差の関係上、見逃し視聴が重視されると考えられ、当時のNBCは手応えを得たのでしょう。


しかし、4年の時を経て環境は大きく変わっています。Peacockは他のサービスに押されて契約者数を伸ばすのに苦戦。CATVの契約者は減っても、代わりにYouTube TVなどネット上で多チャンネルを配信する業者(vMVPD)が伸びているというのが現状です。改めて、チャンネルを持つことの意味を再認識させられた格好です。

NBCがコンテンツを充実させているのも復活の理由です。NBCには「USA Network」というチャンネルもありますが、手狭になってきました。今シーズンからNBAの放映権を獲得したほか、まだ正式発表ではありませんが、来年からMLBの権利も獲得予定です。今回のNBCのプレスリリースにも「まもなく発表される契約」としてMLBに触れています。


CATVからストリーミングへ、いわゆるコードカッティングの流れは果たして人々を幸せにしたのか。一時的には料金が安くなったかもしれませんが、競争の激化、そして寡占化が進むことで結局元に戻った感があります。スポーツコンテンツではさらに放映権料の高騰が加わります。幸せな未来はまったくもって保証されていません。

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