電通、Netflix&DAZNとの協業を相次ぎ発表。

電通のグループ3社は、Netflixへの広告配信を開始したと発表しました。「PremiumViewインストリーム動画広告」という商品名で、従来はTVerやABEMAなどを対象としていましたが、新たにNetflixが配信先として追加されます。


WBCの放映権をNetflixが獲得した件では、Netflixが電通を飛ばして直接契約したとされています。電通にとっては屈辱だったかもしれませんが、だからといって指をくわえて見ているわけにもいきません。この発表がWBCと関係あるかは正直よく分かりませんが、NetflixのWBC中継に電通経由で広告が挿入される道が開いたとは言えます。

WBCの広告ですが、Netflixのヘルプページによると、ライブ配信中に入る広告は「プランを問わず」表示されることがあるとしています。過去のスポーツイベントのライブ配信の事例から、広告付きプラン以外でも表示されるものとみられます。これについては「予約型」と呼ばれており、あらかじめ設けられた広告枠に対して配信を予約するものです。テレビCMなど従来型の広告に近いと考えてよいでしょう。


そして、見逃し配信で流れる広告は「運用型」と呼ばれます。こちらは広告付きプランのみで配信されます。動画再生の最初や、途中のタイミングで挿入されるもので、人によって表示される内容は異なります。どの広告が表示されるかは、ユーザーの属性やコンテンツの内容に基づき、出稿するクライアントの入札で決定されます。


今回の提携は、この「運用型」を主な対象にしたものと考えられます。電通は広告主とともに、どんなユーザー層、どんなコンテンツに配信するとより効果が高くなるかを分析し、サポートを提供します。

また、電通はDAZNとの新たな協業を発表しています。「DAZN Open Marketing Engine」という商品名で、データクリーンルームと呼ばれるサービスを提供します。


データクリーンルームとは簡単に言えば広告主が持つデータと代理店が持つデータを、プライバシーが守られる形で結合させる場所です。電通は、傘下のビデオリサーチなどから得たテレビ視聴のデータや、今回DAZNから得ることになるスポーツコンテンツ視聴のデータを、クライアントの持つデータと組み合わせます。この結果はマーケティング分析にも使えますし、また広告配信にも使うことができます。

DAZNとの協業を深めるドコモがこのプラットフォームに乗ってくることは容易に推測されます。ドコモが持つ1億件以上のdアカウントのデータがかけ合わされることによって、DAZNの広告もより効率化されることが期待されます。


来年開催されるWBCとワールドカップ、そして放映権を持つ各社が電通を軸につながってきました。結局のところ、スポーツコンテンツも広告収入なしでは成り立たなくなってきています。従来は民放テレビ局が担ってきた役割を、今度はストリーミング業者が狙っています。その際には、完全無料のフリーミアムモデルと、サブスク+広告のハイブリッドモデルが併存することになります。

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