DAZN、旧Bally Sportsを買収か。

DAZNが、アメリカのFanDuel Sports Networkの運営会社である、Main Street Sports Group社を買収する交渉を進めていると報じられています。元ネタはウォールストリート・ジャーナルですから、かなりマジな話です。


FanDuel Sports Networkは、今年初めに破綻処理を完了した旧Bally Sportsが改名したもので、いわゆるRSN(Regional Sports Network)と呼ばれるローカルのスポーツ専門局を多数保有しています。

このニュースに関しては、いつもアメリカ方面の話題ではお世話になっている「アメリカメディアウォッチ」さんが詳しく解説されているので、まずはそちらを読んでいただくことをおすすめします。

Main Street社は、破綻手続きによって多くのローカル放映権を失いましたが、それでも今年はMLB 8球団、NBA 13球団、NHL 8球団の権利を確保しています。また、整理の過程でテレビのみの権利だったところが離れ、インターネットの権利を合わせて保有しているところが残りました。DAZNなどストリーミング業者にとってはプラス要素です。

旧Bally Sportsの破綻処理にあたっては、Amazonがスポンサーとして名乗りをあげた時期がありました。結果的には成立しなかったのですが、Amazonとは提携関係にあり、Main Street社が保有する権利についてAmazonを通じて配信を行っています。もし、DAZNの買収が成立すれば、この関係に見直しが入る可能性があります。


Amazonは株式の15%を1.15億ドルで購入する提案をしていたとのこと。当時の時価総額は約7.7億ドルという計算になります。破綻処理によって負債はいったん清算されましたので、現在はもう少し価値が高まっていると考えられます。もしDAZNが株式の過半数を取得するのであれば、少なくとも5億ドル以上は必要となるでしょう。

ただ、DAZNの狙いはまだ明確には見えてきません。先月、MLBの新たな放映権契約が発表されており、ESPNが6球団のローカル放映権、および「MLB.TV」の運営権を獲得しています。この6球団のうち4球団の権利は、かつてBally Sportsが保有していたものです。


この契約は2028年までであり、2029年以降はローカル・全米向け・海外向けの放映権が大シャッフルされ、新たなパッケージが組成されるものとみられます。DAZNの動きはこの流れに逆らっているようにも見えます。MLBについてはあまり重視していないのか。それとも、将来権利を高値で売りさばく計画を立てているのか。

「アメリカメディアウォッチ」さんは、FanDuelとの相乗効果をあげられています。ヨーロッパで「DAZN BET」としてスポーツベッティング事業に参入しているDAZNにとっては、確かにアメリカ進出を手っ取り早く狙えることになりそうです。


DAZNは今年、アメリカで開催されたクラブワールドカップをグローバルで配信。その後、アメリカでは欧州CLやセリエAのスペイン語放送の権利を獲得しており、いったんは縮小したアメリカ市場に再度本格参入することを狙っています。そのための足掛かりとして、今回のディールはいい案件なのでしょう。

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