アカデミー賞、2029年からYouTubeに移行。
アカデミー賞の授賞式について、現在のABCに替わって2029年からYouTubeでライブ配信されると発表されました。2033年までの5年契約で、グローバルに向けて無料で配信されます。1976年から50年以上にわたって放送してきたABCの役割が幕を閉じることになります。
主要な言語に対応するとのことですが、まだ詳細は分かっていません。4年後の話ですから技術も進化しているだろうと思われます。現在のYouTubeは自動字幕機能を提供していますが、その頃には声色も寄せたリアルタイム通訳にまで発展しているかもしれません。
スポーツにおいても国の枠組みを飛び越え、グローバルに向けて配信するケースが増えています。その際の多言語対応は大きな課題です。スポーツのコメンタリーは独特の口調や専門用語の多さといった壁があり、またタイムラグの問題もありますのですぐには解決しないでしょうが、こういう事例が増えると技術も進化していくでしょう。
なぜ放映権が移動することになったのか。最近はエンタメ業界も再編が続いているため、ディズニー傘下であるABCが深く携わることに何かしらの問題が生じたのか・・・と疑ってしまったのですが、実際にはかなりシンプルな話なようで、視聴率の伸び悩みが主要因です。
ABCの放映権料は年間1億ドル程度とされますが、減額を希望していたとのこと。YouTubeは1億ドルを上回る提示を行ったため、単純にABCが競り負けています。
ABCは授賞式の「時短」を求めていました。2019年には一部の賞の発表をCMの最中に行うという荒技が繰り出され、4時間かかっていた式を3時間に短縮させました。今回、ABCは一部の賞について「事前発表」を要求していたとも報じられていますが、伝統を重んじる主催者側が拒否したようです。
時短もまたスポーツの生中継において大きな課題となっています。テレビ界全体で視聴率が落ちている中、ライブの魅力は逆に高まっており、広告料金をつり上げることで収入を保っている状況です。しかし、視聴者も集中力が長続きするわけではありません。3時間かけてだらだらやるよりも、内容を凝縮することが求められます。そういう点では、ネット配信のほうがまだ尺を気にせず自由にやれるということになります。
日本においては、今年の授賞式の中継がWOWOWからNHK BSに移動しています。ただ、来年以降どうなるかは分かっていません。日本に関連する人・作品がノミネートされるかによっても動向が変わってくるでしょう。
2029年以降については、YouTubeが「グローバルで独占」(exclusive global rights)であると発表されているため、基本的にテレビ中継はないと考えてよいかと思われます。
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