【note】ユニバーサル・アクセス権とクリケットの話

前回からあまり間隔があいていませんが、旬のうちに記事をあげてしまいます。今回のnoteは「ユニバーサル・アクセス権」をテーマとしました。

NetflixのWBC独占によって、またも日本で議論が巻き起こっています。といっても、過去のサッカーでの事例だとすぐに鎮静化しており、熱しやすく冷めやすい日本人の気質をそのまま表しているかのようです。これだけの重大事になって、ようやく政府も動くのでしょうか。


ユニバーサル・アクセス権について解説するメディアの記事もいくつか出てきました。ただ、中には「国が放映権を買う」制度だという誤った表現をしたところもあったようです。最終的に交渉がまとまらなかった場合はそうなる可能性を否定しませんが、最初から公金投入ありきというわけでもありません。もちろん覚悟は必要です。

さて、海外発のメディアである「ブルームバーグ」や「クーリエ・ジャポン」の記事を読むと、共通してあることが書かれています。それは、イギリスにおけるクリケットの事例です。クリケットは、有料放送(Sky)に独占放映権を与えたことで、競技自体が衰退したのではないかと言われているわけですね。

ECB(イングランド・ウェールズクリケット委員会)が、Skyと独占放映権契約を結んだのは2006年のことです。それまで、イギリスの「クラウンジュエル」リストでは、クリケットのテストマッチ(イギリス国内開催のもの)は、無料での生中継を義務付けるカテゴリーAに指定されていましたが、録画でもOKなカテゴリーBへと格下げされています。


この格下げが、当のECBによる要請だったというわけです。自ら無料放送の機会を潰してでも、高額の放映権料を得られるほうがよいとECBは判断しました。

無料放送がなくなると「裾野が広がらない」とよく批判されます。クリケットでも、確かにそういう現象は起こったようです。とくに影響があったのは公立学校で、露出がなくなったことで公立学校の生徒はクリケットをプレーしなくなり、高い階層の人たちが通う私立学校がますます強くなったとされます。


日本だと、WBCだけでなく、甲子園までもが有料化されたら・・・と想像してみると分かりやすいかもしれません。現在でも公立高校はなかなか出場できない状況ですが、有料になれば予選にすら出られない学校が続出することになるでしょう。


ECBもこの事態を重くみて、公立学校への普及に力を入れているそうです。得られた資金を普及活動に費やすというのは、見方を変えると本末転倒なのかもしれません。逆に、強化にはお金をかけられますので、競技人口が減ってもレベルは下がりません。

なお、ECBは2020年からBBCと契約し、無料での生中継を復活させています。およそ20年にわたって行われた壮大な「実験」は、我々にも教訓を与えてくれます。


もっとも、その裏側にはプレミアリーグというとんでもない成功例が存在しています。あれだけの収入が得られるのであれば、超例外となるのです。

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