米NBC、東京五輪の広告収入でリオ超えを狙う。

最近は「公共放送を考える」ブログになりつつある感がありますが、ヨーロッパに続いてはアメリカの話題、しかも本丸であるオリンピックの話になります。

アメリカにおけるオリンピックの放映権は2032年までNBCが独占契約(冬季五輪も含む)。もちろん民放局ですからペイできるだけの広告収入をあげる必要があります。

リオ五輪では過去最高となる12億ドルの売上を計上したとのことですが、東京五輪についてはこれをさらに上回る売上を見込んでいるとのこと。
リオは時差がなかったことを考えれば、これは恐ろしい計画と言ってよいでしょう。競技の時間がいろいろとずらされるのも分からないでもない。
NBCが支払う放映権料ですが、2014~2020年までの4大会の合計で43.8億ドルです。この契約が結ばれた時点では、2018年平昌、2020年東京の開催地はまだ決まっていませんでした。両方ともアジアに決まったのは誤算だったかもしれません。計画通りに12億ドルを超える売上をあげたとしても、正直ペイはできなさそうです。
さらに、2022~2032年までの6大会については合計で76.5億ドルに跳ね上がります。2024年パリ、2028年ロサンゼルスと時差は気にしなくてよさそうですが、2032年がどこに決まるのか、早くも気になります。
時差の大きな地域になれば、また競技時間へのリクエストは増えるでしょう。インドネシアのジャカルタが熱心という話がありますが、東京以上に高温多湿ですし…
日本ですが、2018年平昌とのセットで660億円。NHKが7割、民放が3割負担します。いまのところ有料放送になるような動きはありません。
もっとも、同様の方式をとっているFIFAワールドカップともども、民放にとってはほぼ赤字だと聞いておりますが…。4年に1度のイベントに巨額を費やすのは当然リスクも大きい。

これがヨーロッパであれば、当然ユニバーサル・アクセス権の対象となり、無料放送が義務付けられることになるわけです。今後日本がどんな方向に舵を切るかは運命の分かれ目と言えます。

オリンピックの持つ本来の意義から考えれば、有料放送になることはまずあり得ない…と言いたいところではあるのですが、世界的にみるといろいろな話がありまして。このあたりは当ブログとしてはずっと追いかけていきたいテーマであります。

テレビ・スポーツ中継これが原価だ(1)オリンピック編 | Smart FLASH[光文社週刊誌]

写真:AFLO  「五輪やサッカーW杯の放映権交渉のたびに関係者は『これ以上は無理だ』と言っている。それでも毎回、前回を超える契約を結んできた。ある意味、限界はとっくに越えているんですよ」  そう語るのはスポーツプロデューサーの杉山茂氏。長年NHKのスポーツ番組制作に携わり、放映権交渉を手がけてきた人物だ。  スポーツ界最大のイベントである五輪の放映権料は高騰を続けている。来年に迫ったリオ五輪は昨年のソチ冬季五輪と合わせて360億円。東京五輪に至っては、2018年平昌五輪と合わせて660億円にもなる。 「東京は地元開催、平昌も時差がないということでここまでの額になった」(杉山氏、以下同)  この交渉と契約をおこなうのはNHKと民放各社で組織されるジャパンコンソーシアム(JC)だ。 「1970年代前半、放映権料の負担を減らし、各局競合で金額が吊り上がることを防ぐためにNHKと民放が協力する仕組みが作られた。1980年モスクワ五輪はテレビ朝日が独占したが、その後はずっとJCの枠でやってきている」  放映権料の負担割合は、かつてはNHKが80%に対し民放連が20%だったが、近年はNHK70%、民放連30%になっている。民放連ぶんはさらに在京各局で等しく分担する(テレビ東京のみ他局の半額負担)。  JCを組織し放映権料を抑えようとしてきたにもかかわらず、ここまで高騰してきた原因は何か。 「明らかにアメリカですよ。アメリカの3大ネットワーク(NBC/CBS/ABC)にFOXも加わってド派手な競争をやる。“独占”でないと意味がない、というのがアメリカの放送文化。日本の互助会的なものとはまったく異なります。そのため信じられないほどの額になってしまう。それが一種の基準となってしまうため、日本の放映権料も上がってしまうわけです」  近年、アメリカではNBCが放映権を維持しているが、それでも放映権料は上がり続けている。  しかし、それももう限界に近づいていることは間違いない。2010年のバンクーバー冬季五輪でNBCは赤字を計上している。日本も、2012年のロンドン五輪は深夜の中継だったこともあり、広告収入が伸びず民放は赤字だった。 「もう五輪はいいのではないか、JCか

Smart FLASH[光文社週刊誌]スマフラ/スマートフラッシュ

なお、パラリンピックについてはNHKの独占となりますが、積極的な独占と言えるかはちょっと疑問。単に民放が手を出さなかっただけな気もします。それこそ24時間テレビだかなんだかをやってる局が興味を持ってくださってもよいと思うのですが。

まぁ、これもまた公共放送の持つ使命ではないかと言うことで、今回もやはり公共放送を考えるシリーズになってしまった次第です。本稿はこれまで。

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