どこを向いてる? グランプリファイナル&Jリーグアウォーズ。

先週末にテレビ朝日で放送されたフィギュアスケートの「グランプリファイナル」、そして12/8(日)にDAZNで配信された「Jリーグアウォーズ」について、内容に不満をこぼすツイートが散見されています。


これらのコンテンツはともに、無料放送(地上波)と有料放送の壁とはなにか?そして、それぞれの放送を観る視聴者層の違いはなにか?といったテーマが背景に隠れてます。また、地上波の持つメリットと限界について考察する材料としてもおおいに役立つものです。

テレビ朝日が(NHK杯を除いて)中継を続けているグランプリシリーズの内容については以前から不満の声が多くあがってました。まず生中継が少ないこと。BS朝日やテレ朝チャンネルでも放送されず、またISUが行っている公式のライブストリーミングにもジオブロックがかけられているため、それを補完する施策もないこと。そして、放送される選手の数が少ないこと。いろいろ言われております。その批判は至極ごもっともです。


とくにグランプリファイナルは上位6人(組)のみが出場する大会なだけに、多くの選手を放送できる余地はあるはずで、それでもなおカットが発生していまうというのは、スケートファンにとっては承服しがたい話でしょう。


とくに今回火をつけたのは、優勝したネイサン・チェン選手の演技が放送枠に収まらなかったこと。その分は次の番組「サタデーステーション」にそのままつなげるという形で放送されたのですが、本来であれば放送枠の延長で対応すべきところ。これだと録画していた人にとっては、演技の途中で番組が切れてしまうことになります。


しかも、もともと放送が終了する21:54の時点ではチェン選手の演技がまだ終わらないことが事前に分かっていたのでは?という指摘がなされています。かりにタイムスケジュールが当初より若干遅れていたとしても、その後の点数発表などが枠に入らないことは確実なわけで、ますますこの措置には首をかしげるところです。

しかし、実際に発表された視聴率をみると平均15.4%とすばらしい数字をとっていますので、おそらくテレビ朝日としては今後も変えるつもりはないでしょうね。。。


しかも、瞬間最高視聴率については「午後9時53分、羽生結弦(25)=ANA=のライバル、ネーサン・チェン(20)=米国=のフリー演技中に23・5%を記録した」とご丁寧に書かれていますので、これは確信犯だと言わざるを得ません。

背景としては、王者・日テレの背中が見えてきたテレ朝のあせりが見えてきます。もう、数字をとるためなら何でもあり的な雰囲気になっているのですね。フィギュアのファンも「サタデーステーション」を普段から観ている視聴者も両方取り込みたい…となると、このような編成になる理由の説明はできます。(もちろん納得できるかは別)


以前はこういうセコい数字の稼ぎ方は日テレのほうが得意で、現在の社長である小杉善信氏もかつてプロデューサー時代に視聴率の鬼だったことで知られています。例えば番組を00分ちょうどではなく、数分早めてスタートさせる手法も日テレが先駆者です。(最近は飽きられたため元に戻される傾向にありますが)


テレ朝はというと、「やたらと3時間スペシャルを組む」「深夜番組をゴールデンに昇格させ、つまらなくしてまた戻す」といった批判がたびたびなされます。

こうやって一時的に獲得した視聴率は一種のカンフル剤のようなもので、飽きられると落ちるのも早い。もしかしたら、日テレの小杉社長はかつての自分の姿を現在のテレ朝に見ているのかもしれません。

「Jリーグアウォーズ」については、芸能人が多く起用されたことがコアなJリーグファンの反発を招くことになりました。DAZNでの独占配信ということもあり「地上波ならまだしもDAZNで流す内容ではない」といった意見が多かったようです。


確かにDAZNで熱心にJリーグを観戦するコアなファンに向けたコンテンツではないことは間違いありません。ただ、この内容についてDAZNがどこまで口を挟めたかは不明です。


どちらにせよ企画には広告代理店の関与が大きいかと思いますので、代理店的な見方を書いておきます。

このようなイベントを開催する目的というのは、スポンサーの商品(この場合はJリーグ)の認知であり、そのために知名度のあるタレントの力を借りるのです。ですから、DAZNを観てる熱心なファン向けではないことは最初から織り込み済み。


このイベントの成果はDAZNの視聴者数よりも、DAZNの枠を飛び出してどれだけの人に認知されたかで測定されます。地上波の番組で何秒間取り上げられたか。また、出席したタレントがブログやSNSで行った発信についてもカウントします。

これらの数字は最終的には金額に換算され、イベントの開催経費に見合ったものであれば成功とみなされるわけです。


おそらくすでにおおよその数字は出ているものと思われます。結果がよければ来年も同じ路線が継続されるでしょうし、悪ければ違う内容になるでしょう。

どちらにしても、選手の名前を間違えるなど未然に防げたはずのミスは潰し、イベント自体の質を高めることは当然求められます。


「地上波向きではあるけどDAZN向きではない」と言った声も散見されましたが、両者に明確な壁を設けるべきなのか、という点も考えてみたほうがいいかと思います。この壁はいわゆる「にわかファン」の前に立ちはだかるものだからです。


あくまで筆者個人の感想ですが、コアファンの側からわざわざ壁を厚くする発言が多数出てくるのは、気持ちはわかるにしても同時に危惧を感じました。

そんなところに、アウォーズに出席されていたROLANDさんのブログが更新されていました。サッカーファンに対する真摯な気持ちが伝わるのと同時に、

にわかファンに理由もなく憤りを感じてしまう…なんて人も中にはいるだろう。

なんて表現をさりげなく入れてくるところがさすが空気を読める人と言いますか、絶妙な立ち位置で書かれた文章だと思いました。彼のブログの読者がひとりでもJリーグに興味を持ってくれると嬉しいです。


今回はおそらく当ブログ最長の記事だと思います。ここまでお読み頂きありがとうございました。

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