アーカイブは文化財。全番組を録画するフランス。

「ユニバーサル・アクセス権」の話を取り上げた次は、引き続き公共財としてのスポーツを考えるという意味でアーカイブの話を取り上げます。

OTTサービスは録画できない、映像が残らないとよく言われます。実際にはやろうと思えばできないことはないのですが、利用規約で禁止されてることが多いです。

これはサーバーの容量といった側面もありますが、映像の著作権者(多くは大会の主催者)との契約によって提供期間が定められている場合も。いずれにしてもテレビに比べたら不便です。

ただ、テレビにも「見逃し視聴」ができない欠点があり、あとで番組が放送されたことに気づいてももう遅い。
ラジオではradikoが「タイムフリー」を始めました。テレビだと「TVer」などがありますが、まだ番組数は限られています。

ということで、フランスでの取り組みをご紹介。公文書館が無料、有料関係なく、国内で視聴できるすべてのチャンネルを24時間録画し続けています。
日本にも国立国会図書館が、日本で刊行されたあらゆる刊行物を収集していますが、この放送版です。確か日本でもやろうという動きがあったはずなのですが…実現していないのはなぜでしょうね。

国会図書館が出版社に対して納付義務を課しているのに対し、フランスでは自ら税金を使って積極的に録画しているのです。これが国民の理解を得られているのは、放送も出版と同様、文化財として後世に残すべきものという意識が強いからでしょう。(単に知られてないからとか言わない)

ここでポイントとなるのは「すべて」ということ。いまは価値が低いとされているものでも、後世では貴重な資料になることが充分に考えられます。その判断は後世の人に委ねられるべきであって、現代の我々がするべきではない。だから「すべて」残すのです。未来にはもっと解析技術も上がってるでしょうし。

アーカイブの積み重ねは将来大きな資産となります。ですから、スポーツの主催団体も映像をきちんと管理、保存して未来に役立ててほしいもの。もちろん、現在のファンにも公開してくれるとありがたいですよね。

もちろんすでにそういう取り組みをしているスポーツもあって、例えば「F1TV」とか。日本だと競馬の「JRAレーシングビュアー」あたりはなかなか強力です。

また、著作権が分散してるとまた面倒な話になりますので、これも一括管理できるならしておいたほうがよいです。放映権も著作権も、まとめると大きな価値を生むのです。

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