アメリカDAZNの月額料金は50ドルが妥当?

アメリカDAZNの主力コンテンツは言うまでもなくボクシングですが、DAZNと二人三脚でボクシングをプロモートしているマッチルーム社のエディ・ハーン氏が「DAZNは月額50ドルにすべき」と発言しております。

サービス開始当初は月額9.99ドルでしたが、昨年3月に19.99ドルに値上げし、新たに年額99.99ドルのプランを追加しました。

PPVからサブスクリプションへ。ボクシングのビジネスモデルを大きく変えようとしているだけに、年間契約に誘導し安定した収入を確保したいという方向性は理解できますが、そのためには面白いカードを提供し続ける義務も生じます。ファンに年間契約したいと思わせる信頼を勝ち取らなければなりません。
この発言では年額をどうすべきかは触れていませんので、そこも知りたいところではあるのですが、ハーン氏としてはこれまでの実績に自信を持っているのでしょうし、もっと拡大したいという意欲はうかがえます。

DAZNにとっては悩ましい話。マッチルーム社と合弁で「マッチルームUSA」を設立しているだけに、公開の場で意見されても…という感じです。意志疎通が図れているのかが気になります。

ルイスvsジョシュア戦(12/8開催)は約100万人が視聴したとのことですが、新規加入者がどれだけ定着したかの結果はもう出ているはずで、その数字を見ながらファンと長期の関係を構築するための施策を検討していくことになります。

年間通じてたくさんの試合を観たいファンもいれば、PPVの対象となるレベルの試合しか観ないファンもいる。もし後者のファンのほうがはるかに多いのであれば、月額料金を値上げする施策は効果があるでしょう。実質的なPPVへの回帰といってもよいですから。

しかし、これは同時に自らの独自性を放棄する動きともなります。すぐ契約できて、いつでも解約できる気軽さをアピールしてきたわけですから。独自性を失えば、待っているのは体力勝負のレッドオーシャン。ESPNやFOXと真正面からぶつかって勝てるでしょうか。

もちろん年額の料金はそうそう上げられないでしょうし、そもそも損益分岐点に達してもいないのが現状ですから、相当厳しい舵取りを迫られることになりそうです。

今後、いわゆる4大スポーツの放映権も更新時期がやってきます。その際には既存のテレビ局も含めてさらなるレッドオーシャンが待っています。体力を蓄えないと、そもそもそこに参加することすらできないのです。

最後にアメリカのボクシング専門サイトがDAZNのこれまでの動きについてまとめた記事を紹介しておきます。とても長い記事で、かつ前後編に分かれていますがわかりやすいです。

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