英ニューカッスル買収を狙うサウジとその闇。

きょうはプレミアリーグの話。言わずと知れた、世界でも最高額の放映権料が動くフットボールリーグです。

6月のリーグ再開に向けて動いているプレミア。試合は中立地での開催となり、選手や関係者には定期的な検査を義務付けるとのことですが、それによって医療のリソースが消費されることに理解が得られるのか。おそらく得られるのでしょう。マネーもさることながら、フットボールは魂なのですから。

プレミアの国内向け放映権はSky Sports、BT Sports、そして今季からAmazonも獲得しています。Amazonの取得分はすでに消化済みのため、他2社の支払いがどうなるかが注目されますが、現時点では予定通り支払われるとのこと。

ただし、契約を1年延長するなど実質的なディスカウントが行われる余地を残します。世界最大のリーグの価値が下がれば、その影響はヨーロッパ全体に拡大するでしょう。
その放映権料バブルを支えるのが豊富な資金を持つ外国企業であり、とくに天然資源をバックにした中東マネーの存在は強力。マンCに莫大な金額をつぎ込むアブダビや、アーセナルのスポンサーであるドバイのエミレーツ航空は有名です。

そこに新たな名乗りをあげたのが、ご存知サウジアラビア。ニューカッスルの買収を目指しているというのです。
この動きに反対を唱えているのが、昨日も紹介したカタールのbeIN Sports。国外向け放映権を購入するライツホルダーでもあります。

beINはサウジが関与していると噂される海賊放送局「beoutQ」によって大きな被害を受けており、プレミアリーグもまた被害者の一員です。そんなプレミアがサウジ資本を受け入れるなどもってのほかだと言うわけです。

この問題については当ブログでも繰り返し取り上げてきましたので、今後も注視していきます。興味のある方は「beoutQ」で検索。

最近大きなスポーツイベントを続々と誘致し存在感を強めるサウジですが、その裏には人権問題を覆い隠す意図があるとも言われ、"sports washing"なる言葉も生まれるほどです。

しかし、サウジもまたコロナウイルスによって傷ついている国のひとつでもあります。2万人を超える感染者もそうですが、それ以上に原油価格の暴落でダメージを受けており、大幅な減産をするのか、あるいは決死の覚悟でシェアを奪いに行くのかで揺れています。

結局のところ、サッカーに、そしてスポーツに対して巨額の投資を行う意味が改めて問われているわけで、つくづくコロナとは世界の価値観を覆してしまったとんでもない奴だと実感せざるを得ません。
●イギリスの状況(5/4現在)
感染者数: 186,599
死者数: 28,446
人口: 6,790万人

●サウジアラビアの状況(5/4現在)
感染者数: 27,011
死者数: 184
人口: 3,420万人

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