【将棋】棋譜の権利はどう守るのか。

当ブログは放映権の話題を扱ってますが、放映権という言葉は法律的なものではなく、いくつかの権利を複合させたものをそう呼んでいるわけです。

契約内容によっても異なりますが、おおむね以下のような要素を含んでいると考えてよいでしょう。

●主催者が持つ施設管理権に基づき、試合会場に立ち入り取材・撮影を認められる権利。
●選手の肖像権の使用料。
●試合映像の著作権の帰属もしくは使用料。
●中継されることで主催者が被る損失の補填。主に観客動員の減少によるもの。
ということで、本日取り上げるのは将棋の棋譜の問題。以前からYouTubeなどで棋譜をリアルタイムで配信する動画が増えていたりしますが、これらに問題はあるのかという話です。

映像を複製しているのなら著作権ならびに肖像権の侵害になりますが、これは単に棋譜を再現しているだけ。棋譜に著作権があるかについては日本国内に判例がないため訴訟が起こってみないとわかりませんが、海外のチェスの事例では棋譜は単なる符号であり、著作権は発生しないとされているそうです。
とは言え、長らく将棋や囲碁は新聞社のバックアップのもとに成り立ってきました。棋譜を優先的に掲載することで部数拡大に役立ててきたわけです。

最近ではネット中継が盛んになり、また日本将棋連盟公式の中継アプリもある中で、この優先権を守ることが徐々に難しくなってきました。

棋譜の利用ガイドラインは、日本将棋連盟とともに棋戦を主催する新聞社などの意向が反映されているものと考えられます。厳しいと問題視されている王将戦は毎日新聞とスポニチが主催で、協賛に囲碁・将棋チャンネルが入っています。そのため中継も囲碁・将棋チャンネルと「将棋プレミアム」の独占となっています。
細かい法的な解釈は専門家に委ねるほかありませんが、著作権を主張するのか、主催者が被っている被害を具体的に例示してもらわないとファンが納得する結論は得られなさそうです。

著作物であってもなくても棋譜は伝統文化として後世に残すべきものであり、その利用については文化の発展に寄与することが前提になります。個人的にはちょっと厳しいかな…と感じます。あとはメディア以外の主催者がもっと増えることを期待しますね。

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