【五輪】中止ならIOCの損失額は?【超ざっくり】

五輪関連では最近東スポが飛ばしています。東スポもリストラが報じられるなどなかなか大変のようですが、独自路線よりもネット世論に寄り添う方向性を見せています。

最近では東京五輪中止の場合、IOCの損失は少なくとも15億ドル(約1,630億円)であり、これは同時に日本側が賠償せねばならない金額だという記事を載せていますが、この内容について検証してみましょう。
元となる記事はシンガポールの新聞「ストレートタイムズ」とのことですが、原典にあたってみるとこの記事はフランスのAFP通信によるものです。AFPは日本の時事通信と提携しているので、そちらから日本語訳の記事が出てもよさそうですが…

それはともかく、この記事はなかなかよくできていて感心しました。これまで当ブログでも触れてきた内容とも一致する情報が多く、おおいに参考になります。
【追記 5/26】
AFP/時事から記事が出てますのであわせて紹介します。
当ブログでも過去に記事にしましたが、2014ソチ五輪と2016リオ五輪のセットでIOCは増額57億ドルの収入を得ています。そのうち73%が放映権料、18%がTOPと呼ばれるグローバルスポンサーによるものです。

その次のサイクルにあたる2018平昌五輪と2020東京五輪のセットでは60億ドル以上の規模になると想定されます。大会規模的には夏季と冬季は2:1くらいになりますので、東京五輪は40億ドル以上と考えられます。

そのうち30億ドル以上が放映権料あり、大会中止となればほぼ全額が損失となります。スポンサーについては4年間トータルでの契約なので全額ではないでしょうが、それなりの返還が発生する可能性があります。

ですので、ざっくりではありますが合わせて30数億ドルが失われる計算になります。
そのうち保険でカバーできるのはいくらかと言いますと、IOCは推定で8億ドル程度の保険に加入していると推測されます。
大会組織委員会の予算では、「IOC負担金」の名目で850億円(約8億ドル)、「TOPスポンサー」の名目で560億円(約5億ドル)の収入が計上されており、この両者がIOCからの分配金であり、IOCが中止を決定した場合でも返還の対象となります。

ちなみにスポンサーのところは全額現金ではなく、いわゆる現物支給(専門用語ではVIK)も含まれています。すでに供給を受けているものも含め、どこまでが返還対象となるのかは交渉次第かもしれません。

また逆に、組織委員会はローカルスポンサーやチケットからの収入の一部をIOCに納める契約となっているのですが、こちらは延期が決まった時点で軽減されたと聞きます。まぁかりに無観客となればチケット収入はゼロになるのですが…。

またしてもざっくりですが、先ほどの30数億ドルという数字から保険の8億ドル、そして返還対象の13億ドルを差し引いてもまだ10億ドル以上のマイナスが残る…という計算になります。東京側から中止を申し入れた場合には、この処理も求められる可能性があるというわけですね。あくまで可能性です。
IOCの準備金、いわゆる貯金については約9億ドルという記事が出ています。これも延期により経費がかさんだことで若干減っている可能性はあります。

大きな金額ではあるのですが、非営利組織という建前上あまり貯め込むこともできません。財政規模からすると頼りない金額であるとも言えます。

最終的に財政が厳しくなれば、分配金を減らすか借入でまかなわざるを得ません。東京を耐えたとしても、北京まで中止となればかなりの危機と言えます。
話を戻しますと、冒頭に出た「少なくとも15億ドル」という数字は東京五輪の放映権料について触れた箇所で出てきたもので、実際には30億ドルを超えると考えたほうがいいでしょう。

この金額は中止になればほぼ全額を返還せねばならず、IOCの損失となります。この損失はどんな形にせよ誰かが負担せねばならず、その中には組織委員会も含まれますし、その背後にある東京都、そして日本国民も含まれる可能性があるというわけです。

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