Netflix、米F1放映権争いに名乗りか。

アメリカにおける来季以降のF1の放映権について、Netflixが名乗りをあげたと報じられています。報じたのはBusiness Insiderというメディアで残念ながら有料記事となっております。ですので、他のメディアの記事は基本的に孫引きです。


現在はディズニー(ESPN)が年500万ドルで契約していますが、F1を運営するリバティ・メディアは年1億ドルをめざしているとか。ディズニーは年7,000万ドルを提示したそうですが、交渉は進んでおらず、現在はNBCユニバーサル、Amazon、そしてNetflixを加えた4社による争いとなっているとのこと。

この話題を取り上げた前回の記事では、Netflix参戦の可能性は薄いのでは、という見方を示したのですが、どうやら予想は外れたようです。すみません。裏を返せば、それだけ重大な方針転換ということになります。

Netflixはスポーツを含めてライブ配信を行ってきませんでした。オリジナルコンテンツをグローバル規模に供給することで他サービスとの差別化をはかり、現在の地位を築いてきました。しかし、ロシアからの撤退の影響があったとはいえ、前四半期では初めて会員数が減少に転じ、成長がストップしています。


これまで何度か強気の値上げを実施してきましたが、こうなるとさらなる値上げも難しい状況。そこで浮上したのが「広告付きの安価プラン」です。


別に有料サービスだから広告を付けてはいけない、なんてことはありません。あくまでユーザーへの利便性のために行っているサービスにすぎません。その利便性を多少犠牲にしてもよいという判断を下したわけです。

そして、ライブ配信というのは広告を入れるのに適した形態だと言えます。あらかじめどのタイミングで広告を入れるか設計することもできます。Netflixはまずはエンタメ作品でライブ配信を解禁する方向だと伝えられていますが、スポーツに進出する下地はすでに作られています。


ただ、スポーツコンテンツは自ら著作権を持てるわけではありませんし、F1の放映権を獲得できたとしてもまずはアメリカ国内のみにとどまります。しかし、成長が止まったアメリカ市場に刺激を与えることができるならば、その制限をいったん甘受してもよいということなのでしょう。


もちろんその先の展開として、他国でも放映権を獲得するとか、公式配信の「F1 TV Pro」をNetflix内に取り込むとか、さらにはリバティ・メディアからF1の運営権そのものを買収するといった展開もあり得るのです。その第一歩として、今回の争いを制することができるのか。Netflixにとっては運命の分かれ道になるのかもしれません。

もうひとつF1関連の話題としては、AppleがF1の映画を製作し、ブラッド・ピットが出演するというものです。現在公開中の「トップガン:マーベリック」の監督と脚本家が起用されると報じられています。Appleは今回の放映権争いには名前があがってませんが、さすがリバティ・メディアは抜け目がないといったところでしょうか。

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