いま明かされる、JリーグとDAZNの交渉舞台裏。

JリーグとDAZNの10年総額2,100億円にのぼる巨大契約について、当時交渉にあたっていた小西孝生さんのインタビュー記事が日刊スポーツに掲載されました。今年退任されたとはいえ、まだ守秘義務も残っている中で結構踏み込んだ話が書かれています。


楽天の三木谷社長が一枚嚙んでいたという話は聞いたことがありますが、これも具体的な話になっています。金額は大きな魅力ですが、まだネットによるスポーツのライブ配信は盛んでなく、DAZNもこの当時は影も形もなかっただけに、どうやってこの契約を実現させたのかは非常に興味のある話です。そのうち本でも出版されるのでしょうか。でしたら是非とも読ませていただきます。

DAZNの前に契約していたスカパーの放映権料は年30億円だったという話はちょっと意外でした。50億円という話が知られていたと思いますが、実際には NHKやTBSなど他媒体と合わせての金額だったようです。確かに当時の記事を再確認すると、スカパーは20~30億円だという記載がありました。認識をアップデートしないといけません。


なお、DAZNとの契約以後はJリーグが自ら試合映像を製作するようになったので、その製作費もJリーグの負担となったことを考慮する必要があります。自ら製作することで著作権の一括管理ができるようになったこと。そしてJ1~J3まですべての試合をカバーしていることが大きな特徴です。他国のリーグでも3部まで一括してカバーし、放映権もまとめて販売している例はほとんどないかと思われます。

DAZNの放映権は「インターネット配信と有料放送など」となっており、無料放送は含まれていません。それゆえNHKや地方局でも放送され続けているのですが、この戦略はDAZNが自ら望んでいたものかと言えば、そうではなかったようです。やはりというか、当初DAZNはすべての独占を求めており、Jリーグ側が説得したとのこと。この裏では相当タフな交渉が行われていたことは想像に難くありません。


コロナによりJリーグも大きなダメージを受けましたが、この契約によって致命傷は免れました。12年総額2,268億円に変更された契約は今年で6年目。ちょうど中間点となります。DAZNにとっては決して順風満帆とはいかない状況です。値上げという重大なカードも切りました。


後半の6年間に向けて、契約数をどう増やしていくか。これはJリーグに限らず、サッカー全体、そして他の競技にも関わる問題ではありますが、Jリーグが地域に根差した活動でスポーツ文化を定着させることがとても大事な活動になってきます。そして6年後、DAZNなのか別の業者になっているのかは分かりませんが、さらに高い値段を提示してくる業者が現れることを切に願っております。

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