3年ぶりの鈴鹿近し。来年のF1放映権はどこへ。
ヨーロッパラウンドを終えたF1はこれからシーズン終盤。アジア・アメリカを転戦します。3年ぶりの開催となる日本GPは10/7~9に開催されます。
この時期になるとやはり気になるのが来年の放映権。昨年は日本GPは中止になったものの、10月初旬に引き続きフジテレビとDAZNが放送・配信するという発表をしています。そろそろ来年の声が聞こえてきそうです。
現行の契約は今年限りで切れることになっています。2016年、Fox Sportsが日本を含むアジア諸国の放映権を7年契約で獲得したことは衝撃を与えました。日本でのFOX Sportsは自社チャンネルでの放送を検討しましたが、結果的には断念し、フジテレビとDAZNにサブライセンスを提供しました。
FOX Sportsは2021年にアジア市場から撤退しました。FOXがチャンネルを開設していた国では、FIAが新たな放送局と契約を結び直しています。日本では、FOXを買収したディズニーに契約が引き継がれ、ディズニーとフジテレビ・DAZNが契約している形になります。
テレビの権利はフジテレビ、デジタルの権利はDAZNに分かれた形となっていますが、来年もこの形が維持されるとは限りません。1社のみになる可能性もあります。もちろんDAZNが獲得したとしても、テレビのチャンネルは持っていませんのでフジテレビなどにサブライセンスする方向になると思われます。
もうひとつのポイントとしては、F1の公式配信である「F1 TV Pro」の存在です。日本ではサービスが提供されていませんが、ここ数年で放映権契約を更新した国では基本的にF1 TV Proが解禁されており、日本でも来年から解禁されると考えられます。
オーストラリアで今年契約を更新したFoxtelは、自らのサービスにF1 TV Proを取り込むことを発表しています。DAZN契約者には無料もしくは安価でF1 TV Proを視聴できるといった形で解決がはかられる可能性もあります。DAZN本体としては日本語コメンタリーやオリジナル番組の充実で差別化していく必要があります。
気になるのは新たな勢力の参入です。プレミアリーグをSPOTV NOWが獲得したのには正直驚かされましたが、常にそういう可能性はあるわけです。SPOTVのほかにもABEMAなどいくつか候補はありますが、いちばん気になるのはAmazonかと思われます。
AmazonがF1の放映権を獲得したケースはまだないのですが、AWSを通じたパートナーシップも存在しており、以前からちょくちょく名前があがっています。アメリカではESPNが契約を更新しましたが、AmazonやNetflixが名乗りを上げていたと伝わっています。また、F1の運営元は以前からAmazonに接触しており、F1 TV ProをAmazonプライムに取り込むといった案も出ていたようです。
日本のAmazonはボクシングの配信でスポーツへの参入を果たしました。今後はボクシング以外の競技にも関心を見せていますが、同時に広く人気を獲得できるコンテンツであることが条件としています。果たしてF1はそのお眼鏡にかなうのか。
ボクシングの映像製作はフジテレビに委託しているので、もしF1の放映権を獲得したならば、こちらも委託するというシナリオは考えられるところです。その場合、現在フジテレビで放送しているコンテンツが維持され、さらに拡大されることも期待できますが、その一方でDAZNでの配信は消滅することになります。
さて、「F1 TV Pro」のFAQページを見ていたところ、面白い記述を見つけました。国ごとのサービス内容を記載したページに、以下の1文があるのです。
Replays from 2022 available on 01/01/24
2022年のリプレイ映像は2024年1月1日から提供される…と書いてあるのですが、いったいどういう意味なのでしょうか。今年限りで契約が切れるとするならば、2023年から提供されてもいいはずです。
2024年と書かれている国は、日本と同様にFox Sportsが権利を持っていたアジアの国に多いようです。とすると、Fox撤退後に結び直した契約は実は来年も有効なのでしょうか。だとすると、これまで書いてきた前提条件がひっくり返る可能性も出てきました。
ちなみにイギリスでは2023年から提供されると書かれています。イギリスではSky Sportsが2024年まで放映権を持っており、また無料放送のChannel 4が2022年までサブライセンス契約を結んでイギリスGPと全レースのハイライトを放送しています。
ですから、Channel4との契約が見直されることでリプレイが解禁になる…という仮説を立てることもできるのですが、まだまだ謎が多いです。正式発表を待つしかありません。
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