無料から有料へ、そしてプレミアムに移行するF1

F1の運営会社は2016年にリバティ・メディア社によって買収され、2017シーズンから実際の運営が始まっている。

その結果、テレビ中継の質については改善もはかられているが、放映権は高騰しているもよう。すでにイギリスでは公共放送であるBBCの無料放送が維持できなくなり、有料放送であるSkyとレースを分け合っている。その他の国でも同様の例があるようだ。

もはや無料放送とは、より付加価値の高い有料放送へと導くためのショーケースでしかないとも言える。そして、さらにその先には主催者が独自に提供するプレミアムサービスが待っている。

すでにMLB, NFL, NBAといったアメリカンスポーツでは、すべてのゲームを見られるゲームパスを独自に販売するのが当たり前。NBAのゲームパスについては、今シーズンから楽天が代理店になったことでも話題になった。そして、F1もその動きに乗ろうとしている。

見たい人はより高い料金を支払うべき、というのはビジネスとして正しい姿だと思う。だが、同時に複数の試合が開催されるリーグではなく、ひとつのレース内でさまざまな視点からの情報を届けるという仕組みにどれだけの視聴者がついてくるかはまだ見えない。

日本ではDAZNがF1を中継しており、通常の国際映像だけでなく、オンボードカメラやピットレーンの映像も配信していることはご存知の通り。しかし、この試みは新サービス「F1 TV Pro」のためのテストであったとも言えるだろう。

実際「F1 TV Pro」が提供されるドイツでは、DAZNでF1を観ることができないと聞く。やがて「F1 TV Pro」が日本に上陸するときには、DAZNにも何らかの制限がかかるのかもしれない。

ところで日本でのF1の放映権は、2016年にフジテレビからFOXスポーツ社に移動している。DAZNが配信できたのも、FOXと交渉した成果だろう。

かつて、「F1は半永久的に保持したいコンテンツ」と言ったフジテレビの社長がいたそうだが、最近のF1に魅力が薄れてるのは否めないし、ホンダやトヨタも活躍できなかった。遅かれ早かれこうなる日は近かったと言える。今年もフジテレビNEXTでは放送されるが、その先の未来はまったく見えない。

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