W杯映像担当のHBS社と、背後の中国マネーの未来。

FIFAワールドカップが終了しましたが、映像について触れる機会がなかったので、年を越す前におさらいしておきたいと思います。


オリンピックはIOC傘下のOBSが映像を製作していますが、ワールドカップではHBS(Host Broadcast Services)という会社が担当しています。今大会では2,500人のスタッフが関わっており、のべ6,000時間に及ぶコンテンツを製作しました。


各試合には42台のカメラが投入されたとのことです。これだけのカメラがなければ、三笘選手のあのプレーは認められなかったかもしれない…と思うと、日本にとってはよかったのかもしれませんが。

HBSはスイスに本社を置く会社で、ワールドカップは2002年の日韓大会から担当しています。日韓大会で放映権の販売に関わったキルヒメディアとISLの合弁で設立されたのですが、両社とも後に破綻。日韓大会の裏側を知っているとなんとも後ろ暗いのですが…。


その後、同じくスイスに本拠を置くinfrontの傘下となります。infrontもまたキルヒメディアの流れを汲む会社です。2015年には中国のWanda Group(万達集団)に買収されています。今大会でもピッチ外の看板に「WANDA」の文字があるのを記憶している方も多いのでは。

infrontはこのつながりから、ワールドカップの放映権の代理店も務めてきました。今大会では中国を含むアジア26か国を担当。タイでは開幕ぎりぎりまで決まらなかった…ということは当ブログでもお伝えしてきました。


そんなinfrontが、次回2026年大会では代理店から外されるのではと報じられています。電通も外される可能性があるので日本ではそちらのほうが大きい話題なのですが、本来はinfrontのほうが注目されてもよいのでしょう。


下記の記事では「一行情報」としておりますが、当時有料でしか見られなかった記事がいまでは無料でも見られるようですので、ぜひご一読ください。

FIFAが中国市場の拡大に期待していたことはこれまでも知られており、次回大会で参加国が32→48に拡大するのも中国の出場を期待したものと言われています。しかし、正直言って現在の中国代表は弱体化しており、アジア枠が増えても予選を通過できるかは微妙な状態です。中国のサッカー熱もかつてほどの勢いはありません。


infrontが外れるということは、FIFAが中国に対するスタンスを変えつつあることの象徴であると理解すべきなのでしょう。今後期待される市場としては、まず次回のホスト国であるアメリカです。アジアでは中東、そして将来的には東南アジアがあげられるでしょう。



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