自転車ロードレース関連の放映権まとめ
【更新履歴】
2023/1/23: 本ページを公開
2024/6/15: Staylive Cyclingの項目を追加
2024年5月「Staylive Cycling」ローンチ
スウェーデンの代理店・Spring MediaはGCNの親会社だったワーナーブラザース・ディスカバリーから、自転車関連のライセンスを取得。「Staylive Cycling」をローンチした。
これにより、昨年までGCN+で配信されていたロードレースのうち、RCS Sport主催のレースを除いたほぼすべてが再び日本でも視聴できるようになった。
DAZN参入→撤退までの動き
- DAZNが自転車ロードレースの配信を行ったのは、2017~19年の3年間である。それまでJ SPORTSがほぼ独占していたものに風穴を開けた形。
- 2017年は、RCSスポルトの主催レース(ジロ・デ・イタリアなど)、フランダース・クラシックの主催レース(ロンド・ファン・フラーンデレンなど)の放映権を獲得していたが、ロンド~のライブ配信が行われず多くのファンの怒りを買うこととなった。
- RCSは代理店のIMGとともに放映権料の引き上げを進めており、2017年は多くの国で放映権が移動した。DAZNの参入がなくても、J SPORTSが引き続き権利を維持するのは容易ではなかった。
- 2018年にはラインアップを増強し、上記以外にも多くのレースが視聴できるようになった。後から分かったことではあるが、ディスカバリー(ユーロスポーツ)が放映権を抱えているレースをまとめて購入したものと考えられる。
- 2019年のシーズン途中から日本語コメンタリーが入るレースが縮小。そのままシーズン終了とともに中継はなくなった。
- DAZNが撤退した理由としては、視聴者数の伸び悩みと、初動で失った信頼を回復できなかったことが考えられるが、DAZNと入れ替わる形でGCN+が参入した経緯をふまえると、2020年以降も(GCN+の母体である)ディスカバリーから権利を購入し続けることができたかは微妙とも言える。
J SPORTS
- 2021年7月、ASOとの契約延長を発表。新たな契約は2023年から発効。複数年契約と発表されており、具体的な年数は不明。
- 2021年からRCSスポルト主催のレース(ジロ・デ・イタリアなど)の放送を再開した。これらのレースはJ SPORTSとGCN+両方で中継されることとなった。
- ディスカバリーはRCSの代理店であるIMGと2021年から5年契約を結び、グローバルの放映権を獲得している。本件はディスカバリーからJ SPORTSにサブライセンスが提供されたと考えられる。
- 2021年からUCI世界選手権の放送を再開した。4年契約と推定される。
GCN+
- GCN(Global Cycling Network)は、傘下にユーロスポーツを抱えるディスカバリー(現ワーナーブラザーズ・ディスカバリー)が運営している自転車情報サービスであり、その中でロードレースを有料で配信しているのが「GCN+」である。
- 2020年2月、GCNはロードレースを配信するアプリを翌年から提供する計画を明らかにした。その後コロナ禍が発生し、ロードレースのシーズンは中断。8月から再開されることになったが、それに合わせて予定を前倒しする形で「GCN Race Pass」を開始。2021年にサービス名をGCN+に変更。
- ディスカバリーは、RCSスポルト主催レースの権利を2025年まで保有するほか、多くの権利を確保しており、ユーロスポーツ、discovery+、GCN+で放送・配信している。日本向けの権利があるものについては日本のGCN+でも視聴することができる。
- 結果として、GCN+のラインアップは以前DAZNで配信していたものを包含する形となっている。ディスカバリーがDAZNに売っていたものを自社で配信するようになったのだから、ある意味当然とも言える。
- RCS主催レースの権利は2021年からJ SPORTSにサブライセンスが出されるようにになったため、現在では両社で視聴することができる。
- 代理店のInfrontとはぎりぎりまで交渉が続く傾向。
- フランダース・クラシック主催レースについては獲得に成功したが、2022年にはツール・ド・スイス、ツール・ド・ポローニュの配信がなくなり、2023年も未定。
- 2023年からinfrontと提携したカデル・エヴァンス~も
配信されなかった。開催前日に配信されることが確定。 - 2024年からはツール・ド・ロマンディもinfrontが代理店となる。
- 特定のスポーツ配信サービスでは、同じくディスカバリー傘下だったGOLFTVが2022年末に閉鎖された。GCNについては「ニッチなサービスで熱心なファンが多い」という理由から、存続の判断が下されている。
- 2023年12月、GCN+はグローバルでサービスを終了した。親会社の方針変更が理由。
- また、日本ではGCNのYouTubeチャンネルも更新を終了した。
- ヨーロッパでは「discovery+」、アメリカでは「Max」で引き続きレースの配信が行われるが、日本ではこれらのサービスがなく、権利が浮いた状態である。
- 2024年5月、ワーナーブラザース・ディスカバリーらライセンスを受けた「Staylive Cycling」が開始。日本を含む、受け皿がなかった国でも視聴できるように。
※最新の配信予定は以下をご確認ください。
https://help.globalcyclingnetwork.com/hc/en-gb/articles/360015566840-Japan
※ディスカバリー(ユーロスポーツ)が保有する権利については以下を参照のこと。
2023年 UCIワールドツアー日程
- ASO主催(または系列)のレースはJ SPORTSが放送
- RCSスポルト主催(または系列)のレースはJ SPORTS、GCN+ともに放送・配信
- フランダース・クラシック主催(infrontが代理店)のレースはGCN+が配信
- それ以外のinfrontが代理店のレースも基本的にGCN+での配信だが、ぎりぎりまで交渉するケースが多く配信されない可能性も。最新の情報をご確認ください。
- 1月17〜22日 サントス・ツアー・ダウンアンダー(オーストラリア)J SPORTS
- 1月29日 カデルエヴァンス・グレートオーシャンロードレース(オーストラリア)GCN+ ※infront
- 2月20〜26日 UAEツアー(UAE)J SPORTS、GCN+ ※RCS
- 2月25日 オムロープ・ヘットニュースブラット(ベルギー)GCN+ ※フランダース
- 3月4日 ストラーデビアンケ(イタリア)J SPORTS、GCN+ ※RCS
- 3月5〜12日 パリ〜ニース(フランス)J SPORTS ※ASO
- 3月6〜12日 ティレーノ〜アドリアティコ(イタリア)J SPORTS、GCN+ ※RCS
- 3月18日 ミラノ〜サンレモ(イタリア)J SPORTS、GCN+ ※RCS
- 3月20〜26日 ボルタ・ア・カタルーニャ(スペイン)J SPORTS ※ASO
- 3月22日 クラシック・ブルッヘ〜デパンネ(ベルギー)GCN+
- 3月24日 E3サクソ・クラシック(ベルギー)GCN+ ※infront
- 3月26日 ヘント〜ウェベルヘム(ベルギー)GCN+ ※フランダース
- 3月29日 ドワルス・ドール・フラーンデレン(ベルギー)GCN+ ※フランダース
- 4月2日 ロンド・ファン・フラーンデレン(ベルギー)GCN+ ※フランダース
- 4月3〜8日 イツリア・バスクカントリー(スペイン)GCN+
- 4月9日 パリ〜ルーベ(フランス)J SPORTS ※ASO
- 4月16日 アムステルゴールドレース(オランダ)GCN+ ※infront
- 4月19日 ラ・フレーシュ・ワロンヌ(ベルギー)J SPORTS
- 4月23日 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ(ベルギー)J SPORTS
- 4月25〜30日 ツール・ド・ロマンディ(スイス)GCN+ ※2024年からinfront
- 5月1日 エッシュボルン・フランクフルト(ドイツ)J SPORTS
- 5月6〜28日 ジロ・デ・イタリア(イタリア)J SPORTS、GCN+※RCS
- 6月4〜11日 クリテリウム・デュ・ドーフィネ(フランス)J SPORTS ※ASO
- 6月11〜18日 ツール・ド・スイス(スイス)未定 ※infront
- 女子レースはGCN+で配信予定
- 7月1〜23日 ツール・ド・フランス(フランス)J SPORTS ※ASO
- 7月29日 クラシカ・サンセバスティアン / ドノスティア・クラシコア(スペイン)J SPORTS
- 7月29〜8月4日 ツール・ド・ポローニュ(ポーランド)未定 ※infront
- 8月20日 ベーメル・サイクラシックス(ドイツ)GCN+
- 8月21〜27日 ベネルクス・ツアー(ベルギー、オランダ)GCN+
- 8月26〜9月17日 ブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)J SPORTS ※ASO
- 9月3日 ブルターニュクラシック・ウェストフランス(フランス)GCN+
- 9月8日 グランプリ・シクリスト・ド・ケベック(カナダ)GCN+
- 9月10日 グランプリ・シクリスト・ド・モンレアル(カナダ)GCN+
- 10月7日 イル・ロンバルディア(イタリア)J SPORTS、GCN+ ※RCS
- 10月12〜17日 グリー・ツアー・オブ・グワンシー(中国)GCN+
UCI世界選手権
- 2013~20年はSPEEDチャンネルで放送されていたが、2021年からJ SPORTSに復帰。契約期間は不明だが、4年と推定される。(代理店のIMGのWebサイトより)
- SPEEDチャンネルは競輪の中継がメインだが、ロードレースの権利を獲得したのは東京五輪に向けての動きだったと思われる。
- ロードレース以外の世界選手権については、ディスカバリーとのつながりからGCN+で配信されるものが多いと考えられる。
東京五輪のサイクルロードレースについて
オリンピック公式のYouTubeにて配信されています。ヨーロッパの撮影クルーからみた日本の風景をお楽しみください。
国内のレース
- 日本国内で開催されているレースには「Jプロツアー」と、2021年から分離独立した「JCL」がある。両者は再統合の協議を行っていると報じられているが、具体的な動きはみられない。
- 両者が主催するレースはそれぞれYouTubeで配信されている
- UCI公認の国際レースについては、UCIの登録チームであればJプロツアー・JCLどちらに参戦しているチームでも出場することができる。
- 国内最高峰の「ジャパンカップ」はJ SPORTSで放送
- その他のレースについては主にJCLのYouTubeチャンネルで配信
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