【追跡】米Google TVで観られる800チャンネルとは。

先日以下の記事をアップしたのですが、どうやらこの件は選挙絡みの政治活動に使われていたようで、えらいこっちゃなぁ…と正直思ったのですが、選挙も終わりましたので改めて取り上げたいと思います。スポーツと直接関係ない話題ですみませんが。


アメリカのGoogle TVが800以上のライブチャンネルを無料で視聴できるようにした、という話なのですが、これらのチャンネルはFAST(Free Ad-supported Streaming TV)であることは前回説明しました。Streaming TVですから放送で流れる映像とは基本的に別物なのですね。日本だとABEMAのようなものだと思ってください。


流されているガセネタは、日本の民放局がテレビで放送しているのと同じ内容がGoogle TVでも観られるような印象を与えていますが、そんなことは決してないわけです。そもそもこれはアメリカ限定の機能なので、日本とは無関係ですしね。

Googleの企業理念は、世界中の情報を整理することにあります。別にGoogleが自らコンテンツを作っているわけではありません。ここであげられる800のチャンネルはGoogle独占ではなく、基本的に他のメディアでも観られるものです。それを一か所に集め、メニュー画面の「Live」のタブから横並びで選択できることに価値があるわけです。


すべてのチャンネルリストは手に入らなかったのですが、いくつかヒントを得ることはできました。まず、Google TVが直接リンクしているものと、FASTを取り扱うストリーミングサービスから提供を受けているものに分類されます。


前者に分類されるのは以下のページにあげられている77チャンネルです。NBC Newsは地域別に分かれているので、結構なチャンネル数を稼いでいます。スポーツ系では、BeIN Sportsが運営している無料チャンネルである、BeIN Sports Xtraも名を連ねています。

後者に分類されるのは、Pluto TV、tubi、Haystack News、Plexといったサービスです。これらも以前からGoogle TVにアプリをインストールすれば視聴できたものです。Pluto TVとtubiは日本からだとジオブロックがかかっていますが、Haystack NewsとPlexは日本からも視聴可能です。


とくにPlexのチャンネル数は多く、アメリカ向けでは663チャンネルが提供されています。日本で視聴できるのは171チャンネルです。以下のページからチャンネルリストを抽出することができます。実はDAZNで配信されている「Unbeaten」もあったりします。

Google TVは今回の発表で10の言語に対応しているとしていますが、Plexのチャンネルリストを見るとアメリカ向けにはちょうど10言語が存在しているので、おおむね一致するものと思われます。もちろん英語がほとんどで、その次にスペイン語。あとは数えるほどといったところです。


日本語のチャンネルは1個のみが該当しており「TokuSHOUTsu」という、日本の特撮(ウルトラマン・仮面ライダー・戦隊シリーズなど)を配信しているチャンネルでした。これらは当然ではあるものの、日本から視聴することはできません。

繰り返しになりますが、これらはすでに存在するチャンネルをGoogleが1か所にまとめたものであって、新たなコンテンツが追加されるわけではありません。ましてや、日本の民放局がテレビで流している放送内容をそのまま配信するといったことはありません。今後はそういうケースも出てくるかもしれませんが、基本的に日本のテレビで放送されたものは日本国内に限定され、海外で配信するには別途権利処理が必要となります。


例外と言えるのがニュース関連の映像です。基本的にテレビ局が自ら撮影したものなので、権利処理の手間が少なくてすみます。なので、アメリカの4大ネットワークもFASTとしてニュースチャンネルを設置してますし、日本の民放局もYouTubeにチャンネルを開設したり、あるいは「Yahoo!ニュース」などのネット媒体に映像を提供していたりするわけです。

正直、これだけ多数のチャンネルがあって、すべてが広告収入だけで利益を出せるとは到底思えません。アーカイブの再利用などでコストを抑えつつ、有料サービスで回収するモデルだと考えてよいでしょう。かと言って、無料のコンテンツが面白くなければ有料への誘導はできません。無料と有料のバランスは永遠のテーマと言えるでしょう。


日本ではまだまだFASTが盛んではないため、Google TVに同様の「Live」タブが追加されるのは先になるかもしれませんが、ABEMAや楽天(Rチャンネル)あたりが陣営に加われば結構強力なラインアップになりますし、Amazon Fire TVやApple TVなど他のプラットフォームも追随する流れになるでしょう。


ちなみにTVerやNHKプラスはこれらのテレビ向けプラットフォームではライブ配信を行ってないので、当面乗ってくることはないでしょう。テレビで観られるものは放送で観ようよ、ということですね。アーカイブについては可能性がありますけど。

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