カターレ富山、JリーグとDAZNの内情を暴露?

【追記 11/21 19:00】

報告書の改訂版がアップロードされました。「一部誤った情報が含まれていたため」との理由で、問題となった箇所はカットされています。なので、以下の話は眉唾ものであるとお考えください。根拠に乏しい数字で議論するのは虚しいものです。

いわゆる秋春制への移行について、現在J3に所属するカターレ富山が開催したタウンミーティングの報告書が公開されたのですが、秋春制とはまた別のところで話題になっていますので、少し解説してみようと思います。


当然ながらと言いますか、残念ながらと言いますか、この記事はもう消されてしまったそうです。後に改訂版がアップされるかもしれませんが、少なくともきわどい発言は修正されるでしょう。そもそも適当な発言だったという可能性も否めませんので、これから書くことは話半分だと思ってください。

放映権料について、当初、Jリーグはダゾーンと年間視聴者数を100万人でグリップしているが、現在は40万人程度に留まっているため、ダゾーンは大赤字となっている。


まず、ここに書かれている「100万人」と「40万人」という数字については、どんな方法で集計した数字か詳細が分かりませんので、安易に何かと比較することはできません。「年間視聴者数」と書かれていますが、Jリーグの試合を1年で何試合(あるいは何分)以上見た人をカウントするのか、その基準によっても数字は大きく変わってきます。


ですから、ここでは当初掲げた目標値よりもかなり下回る水準である、ということだけを押さえておけばよいかと思います。この数字だけで議論するのは実に危険です。


DAZNは会員数を公表していませんが、だいたいの数字を探ることはできます。調査会社のGEM Standardによると、いわゆるサブスク型の動画配信サービスについて、2022年の市場規模を4,508億円と推定しています。この金額は消費者が支払った額であり、広告収入は含まれていません。


このうちDAZNのシェアは11.4%となっているので、掛け算すると513億円となります。それを会員1か月あたりの金額で割ればよいのですが、この金額を推定するのもなかなか難しい。昨年の料金は月3,000円でしたが、年間契約の人もいれば、DAZN for docomoの人もいます。また、値上げが実施されたのは2月下旬であることも考慮が必要です。


なので、ここはざっくりと2,500円としておきましょうか。そうすると、年間でのべ2,055万人、1か月平均で171万人という数字が出てきます。

ただ、この調査はやや過大である可能性があります。というのも、2021年のDAZNの決算では、Asia Pacificの売上を約2.4億ドルと公表しています。当時の為替レートは1ドル=115円前後なので、270億円程度となりますが、この売上には広告費なども含まれますので、会費だけだと若干下がります。


先ほどのGEM Standardの調査結果のうち、2021年については3,862億円×9.8%=378億円となりますので、実に100億円以上の乖離があることになります。よって、先ほどの171万人という数字は下方修正したほうがよさそうです。


過去に出た他の報道(値上げ前)では、150~170万人程度というものもありました。その後、どれだけ離反が出たかにかかっています。


繰り返しますが、これらの数字と先ほどの「100万人」や「40万人」を直接比較してはいけません。もちろん全員がJリーグを見ているわけではないので、Jリーグの視聴者はこれよりも少なくなります。でも、さすがに40万人にまで落ちるとも考えにくく、やはり計算方法が異なった数字であると解釈すべきでしょう。

「大赤字」という点で言うと、確かに以前はそうだったと言えるでしょう。しかし、昨年・今年と2年連続で値上げを繰り返したことで、従来ほどの赤字を計上することはなさそうです。


グローバル的には2023年に単年での黒字転換を果たす可能性も報じられています。しかし、日本市場だけで見るならば、円安が追い討ちをかけていることも確かです。米ドルや英ポンドベースでは日本市場の収入は下がることになります。Jリーグだけで言えば円ベースでの取引なので影響は軽微ですが、海外に支払う放映権料は大きく影響を受けるでしょう。


もし黒字転換を果たしたとしても、Jリーグ単体では目標を大幅に下回っているわけですから、他の競技で出した黒字で穴埋めをしていることになるわけです。よく「Jリーグだけの料金プランを出してほしい」という要望を目にしますが、この現状だとかえって高くつくことになるでしょう。

もうひとつ気になる箇所がありますので、そこにも触れておきましょう。


放映権料については、正直なところ今一つ見えていない。先ほど話したとおり、初めてのことなのでJリーグは英国プレミアリーグの5,000億円の絵は描けていないが、毎年、放映権料を上げるために競争入札を実施している。今後、ダゾーン1社になるのか、他に出てくるのか分からないが、今回、J3の放映が決まったのは3社が入札に参加し、最高値をつけたのがダゾーンと聞いている。


これは正直よく分かりません。確かなのは、今年からJリーグとDAZNの契約が見直され、J3が対象から外れたということです。その一方で今年限りでJ3の配信が続いているわけですが、少なくとも「毎年入札を実施している」という話は聞いたことがありません。もし、J3について入札が行われたのが事実だとしても、通常放映権契約は複数年サイクルで実施するものであり、単年で実施するとは思えません。


なので、この話については信憑性を疑わざるを得ないのですが、もしJ3に興味を持っているところが他に2社あるのならば、それは歓迎すべきことでしょう。


秋春制によって放映権料が上がるという保証はどこにもありませんが、何もしなければ下がるであろうことは目に見えています。秋春制はそのための一手段でしかなく、他の手段も合わせて検討されるべきものでしょう。そして、現時点で置かれている立場は想像以上に厳しいことを認識せねばなりません。

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