DAZN、2022年の決算資料公開。赤字12.5億ドル。

DAZNは2022年の決算資料を公開しました。2023年ではないのでご注意を。


前年(2021年)は23億ドルという巨額の赤字を叩き出しましたが、2022年は12.5億ドルとなりました。半分近くに減ったことは評価すべきですが、それでもなお巨額です。

2022年の売上は約22億ドルで、前年比+41%の増加となっています。2023年には日本を含め各国で値上げを行っていますので、若干の離反は出るでしょうけどさらに増えることが期待されます。


DAZNはイギリスの会社ですが、この決算は米ドル建てで行われています。収入の多くはヨーロッパであり、すなわちユーロ建てです。ユーロは日本円ほどではないものの、若干為替レートの影響を受けています。

先ほども書いた通り、12.5億ドルの赤字を計上しています。そのうち営業赤字が10.6億ドルで、その他は親会社からの負債の利子や為替レートの変動による損失です。


昨年の営業赤字は13.5億ドルなので、3億ドル程度の改善ができたことになります。昨年の赤字は親会社への利子支払いが大きかったのです。

2021年末に、DAZNは親会社(Access Industries)から43億ドルにのぼる資金を調達し、負債を一掃しています。そのため、2022年の利子負担は大幅に縮小されています。

2022年においても、DAZNは親会社から7.3億ドルの資金を調達し、優先株を発行しています。そして、今年(2023年)も2.4億ドルを調達しています。

合わせると10億ドル弱となりますが、DAZNは外部から10億ドル程度の資金調達を計画していると報じられており、この金額とほぼ合致しています。再度身をきれいにしようということでしょうか。


もちろん、外部からの支援を得るためには、黒字化の見通しを立てねばなりません。売上については値上げ効果で増加が見込まれます。その一方で、新たな大型支出はNFL Game Pass(10年契約で年1億ドルと推定)程度に抑えられています。あとは、新たに始めた「DAZN BET」が軌道に乗ってくると、黒字化が現実味を帯びてきます。

地域別の売上では、ヨーロッパでの伸びが目立つ一方で、日本を含むアジア太平洋の売上は前年比+15%程度にとどまっています。日本で値上げを行いましたが、円安の影響を受けているものと思われます。もちろん多少の離反も発生したでしょう。


主力のコンテンツであるJリーグやNPBは円安の影響を受けないため、その点ではコストも抑えられていると言えますが、それでも印象はあまりよくありません。電通の影響力も弱まっており、DAZNが今後日本市場を軽視するようになることを危惧します。

2022年の会員数について、別のデータをもとに170万人程度と推定しましたが、DAZN公式のデータを用いるとどうなるでしょうか。


2022年末時点での為替レートは1ドル=130円程度でしたので、日本円に換算すると345億円の売上となります。会員1人あたりの売上を年25,000円と仮定すると、会員数は約140万人という推定になりますが、売上には広告も含まれますので、実際にはもう少し下の水準だと考えたほうがよさそうです。

2021年の決算についても同様の記事を書いていますので、比較してみるのもよいでしょう。

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