将棋「評価値放送」で囲碁・将棋chが敗訴。

将棋では、棋譜とAIによる評価値を組み合わせた「評価値放送」と呼ばれるものがYouTubeで盛んに配信されているのですが、その多くが無断で行われているものです。今回、YouTuberの一人が囲碁・将棋チャンネルに対して起こした訴訟の判決が大阪地裁であり、囲碁・将棋チャンネルに対して120万円の損害賠償を命じました。


筆者は法律の専門家ではないのでそんなに詳しいことは言えませんが、以下に紹介する日経新聞の記事では「放映権」という言葉が用いられているため、スポーツの放映権との比較が争点のひとつとなっているように思われます。

将棋の棋譜の著作権については、3年前に当ブログで取り扱ったことがあります。この時、放映権とは法律で定められたものではなく、複数の権利の組み合わせによって構成されていることを説明しました。そして、棋譜についてはおそらく著作権は認められないであろうということも記しました。

今回の訴訟のきっかけは、棋戦の協賛を行っている囲碁・将棋チャンネルが棋譜の著作権を主張し、YouTubeに対して動画削除の申し立てを行い、それが認められたことです。なので、囲碁・将棋チャンネルは「寝た子を起こす」形となったわけです。


囲碁・将棋チャンネルには日本将棋連盟も出資しているものの、大株主は東北新社ですので、日本将棋連盟の意志がどこまで入っているのかはよく分かりません。余計なことをしたと思っているかもしれません。


今後控訴するのかは分かりませんが、判決が確定して判例ができれば、これまでグレーゾーンでやってきたところが白黒はっきりすることになります。棋譜の利用が完全に自由となれば、将棋界にとっては大きな打撃となりかねません。


将棋界はおもに新聞社の支援で発展してきた歴史があり、新聞社は棋譜を真っ先に仕入れ、独占することで収益を得ていたわけです。しかし、ライブ配信が当たり前になったいま、棋譜はタイムラグなしで簡単に入手できるようになったのですから、また新たな理論武装が必要になっていると言えるでしょう。また、棋譜以外のところでコンテンツを充実させ、差別化をはかっていくことも求められます。

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