ブンデスの放映権入札、DAZNの抗議で中断。
4月中旬に開催が予定されていたブンデスリーガの次期放映権(ドイツ国内、2025-26シーズンから4年)の入札ですが、DAZNの抗議によって中断していると報じられています。
ブンデスリーガ(1部および2部)の放映権は7個のパッケージに分割されており、今回の出来事は「パッケージB」で発生しました。1部の196試合が対象となっており、7個のうちでもっとも魅力的とされるものです。
現在も1個のパッケージのみで放映権を獲得しているDAZNは、今回の入札でもパッケージBに集中投資したものとみられます。規定では、提示金額が次点よりも20%超上回った場合、1回目の入札で落札者が決定することになっていますが、DAZNはそれを満たす額を提示したようです。
DAZN側の主張によると、リーグ主催者であるDFLはDAZNに対して24時間以内に銀行保証を取り付けることを求めたとのこと。DAZNにとってはすぐに応じることは到底無理な話で、代わりに"hard letter of comfort"ならば出せると主張しましたが、受け入れられず次点の入札者が落札したということです。
"hard letter of comfort"というのは、簡単に言えば親会社からの保証書であり、もしDAZNが経営破綻するようなことがあれば、DAZNの親会社であるAccess Industriesが保証することになります。
この件について、DFLはドイツ当局と協議するとのことで、現時点ではまだ正式に落札者は決定していません。
このことから、DFLはDAZNの経営状況に懸念を抱いていることが分かります。前回の入札から3年が経過し、その間にDAZNの赤字についてはいろいろ情報が出てきましたので、その懸念については理解できます。
書籍『異端のチェアマン 村井満、Jリーグ再建の真実』では、JリーグとDAZN(当時はPerform Group)の放映権交渉について記されており、この中でJリーグはPerformに対して債務保証をつけるための交渉を行っていたことが明かされています。
当時はまだDAZNというサービスが存在しておらず、正直どう転ぶかまだ分からない状態だったわけですが、それから8年が経過し、また似たような議論が発生するというのもまた面白いところではあります。
DAZNが最初にサービスを開始したのはドイツと日本であり、いまでも主要なマーケットであることは変わりませんが、円安の影響もあって日本の重要度は下がっているように見受けられます。逆に言えば、ドイツでブンデスリーガの権利を維持することはDAZNの経営にとって至上命題です。この戦いを落とすこととなれば、そのダメージは甚大です。
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