【日経】DAZNは配信業者から卸売業者へ?

先日、日経新聞が掲載した記事「欧州サッカー放映権、成長曲がり角 ネット配信も苦戦」については、当ブログでも紹介させて頂きました。

有料記事なので詳細を取り上げることは控え、周辺情報のみお伝えしたのですが、日経の谷口誠記者がX(旧Twitter)行ったポストが話題になっているようです。この部分についてはきちんと紹介してもよいかと思いますので、元記事の当該部分を引用します。


「配信は(顧客を維持する)マーケティングに巨額を投じ続ける必要がある。それを理解したダゾーンは配信から撤退しつつあり、いまや欧州最大の(配信権の)卸売業者。黒字化に近づきつつある」とエンダーズ氏は話す。同社は権利をテレビ局などに再販。日本でもJリーグがABEMA(アベマ)やDMM TVなど他の配信サービスで見られるようになった。

ここで言う「識者」とは、放送通信業界に詳しいイギリスの調査会社・Enders AnalysisのCEOであるClaire Enders氏です。この発言は、日経の傘下にあるイギリスのFinancial Times紙が2月に開催したスポーツビジネスに関するイベントに登壇した際になされたようですが、こちらも有料イベントのため詳細は把握できません。

ただ、Enders Analysis社はDAZNに関するレポートも積極的に出しており、この発言内容と合致していると思われるものも見つけました。こちらも当然ながら有料であり、概要しか閲覧できないのですが。


これらを見る限り、DAZNは「卸売業者」という表現はいわゆるサブライセンスのことではなく、他の放送・通信会社とのパートナーシップを指しているものと解釈できます。日経の記事でも、ABEMAやDMMの事例をあげていますので、正しく解釈しているかと思いますが、一方で谷口記者が付けた「権利を売って稼ぐ」という括弧書きはやや正確性を書いているようにも思えます。

DAZN単独で配信するだけでなく、パートナーシップを通じて他社のプラットフォームからでも視聴できるようにする取り組みは、日本だと先のABEMAが記憶に新しいですが、例えばイギリスではSkyを通じてDAZNを視聴することができますし、各国で同様のパートナーシップを構築しています。


あとは、FAST(無料チャンネル)とフリーミアム(一部コンテンツの無料化)が大きな流れです。フリーミアムについては日本でも導入されました。1社によるコンテンツの囲い込みから、パートナーシップによる有効活用へ。そして、一部コンテンツの無料化による露出の増加へ。これまでの反省を踏まえつつ、新たなフェーズへと進んでいるのです。

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