【2023年第2位】DAZN、今年も各国で値上げ相次ぐ

今年もDAZNは話題の中心であり続けました。日本では月額3,000円から3,700円に値上げされましたが、他国でも値上げが相次ぎました。ドイツ・スペイン・イタリアでは、一部廉価プランもあるものの、自国のサッカーリーグを視聴するには月額29.99ユーロ(約4,600円)以上が必要となっています。


こうなっているのは、物価高などの影響もありますが、基本的には黒字転換に躍起になっているからです。2022年の決算では12.5億ドルの赤字だったことが公表されており、2023年については相当改善されないと先が見通せません。

2024年には黒字転換にめどを立てたうえで、親会社(Access Industries)以外の外部から資金調達を行うシナリオが見えています。カタールのbeIN Sportsに買収を打診していたという報道も流れました。また、最近ではサウジとの関係性が深まっており、そちら方向も可能性も否定できません。株式上場の可能性も引き続き探っているようです。

コスト意識が高まっているのか、放映権の動きはあまり派手ではなかったと言えるでしょう。NFLと「Game Pass」の販売契約を結んだこと(10年10億ドル)がもっとも大きなトピックでしょうか。NFLは、DAZNの主要市場であるドイツや、DAZNの母国であるイギリスでも公式戦を開催しており、今後ヨーロッパ中心に海外での人気が高まることを期待しています。

また、セリエAの放映権を来季以降も継続すること(5年45億ユーロ)が決まっています。こちらは金額が現在よりも微減となりました。金額を増やさず、かつ5年契約を勝ち取ったことは大きな成果と言えます。


現在はリーグ・アンの次期放映権の交渉が進んでいます。今年Canal+と提携し、フランス市場に参入したDAZNは有力候補です。

一方で、これまでも意欲を示してきたプレミアリーグについては落札を逃しました。EFLについても逃しており、母国イギリスで高い地位を築くことには失敗しました。その反面、これらの放映権料は天井に近いレベルまで高騰しているため、経営施策としては無理に手を出さなかったことを評価すべきかもしれません。


現在はラ・リーガ、ブンデスリーガ、セリエAの放映権をそれぞれの地元の国で保有しており、リーグ・アンも獲得できればプレミア以外の主要リーグを押さえることができます。過剰投資のフェーズは終わり、どこに資源を集中投資すべきかが問われています。

2024年のDAZNについて気になることは、やはり再々値上げがあるかどうかでしょう。とくに日本では円安の進行が追い討ちをかけており、他国との比較からまだ値上げ余地があると判断していまう可能性はあります。例年1~2月に各国で発表されているので、他国の状況も当ブログでは追跡していきます。


ただ、値上げに頼る経営は安易だとの批判は免れず、収益源の多角化が求められます。すでに海外で始まっているFASTとフリーミアムは今後日本にも上陸するでしょう。スポーツベッティング「DAZN BET」も収益に寄与してくれるものと思います。ただ、こちらは日本には上陸できませんが。


DAZNのサービス開始当初には「スポーツベッティングの日本解禁を見込んで参入してきたのでは」という見解がよく言われていました。実際のところ、DAZN(当時はPerform Group)はベッティング業者に情報を販売する事業を行っていただけであり、自らが胴元だったわけではありません。その後B2B事業を売却したため、現在はストリーミングが主要事業となっています。


なのでこの説は否定されるべきなのですが、ここに来てDAZNも胴元になりましたので、来年にはまたこの議論が再燃する可能性も充分あり得るでしょう。

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