WOWOWスポーツ中継の魂と「俺たちの箱根駅伝」

WOWOWが欧州CL/EL、そしてEURO2024の放映権を死守したことで、WOWOWによるサッカー中継も継続されることとなりました。もちろん賛否両論はあるでしょうが、WOWOWの中継スタイルに愛着を感じている視聴者も多いかと思います。


そんなWOWOWのスポーツ中継の極意が記された本が『準備せよ。スポーツ中継のフィロソフィー』です。5年前の本ですが、現在でも色褪せない内容なのでお薦めします。

著者は当時のWOWOW社長(今年4月から会長)の田中晃さんです。田中さんは日本テレビで箱根駅伝中継の初代総合ディレクターに就任し、初の完全生中継を実現させました。その後スカパーに移り、地方局などと連携しながらJリーグの全試合中継を実現させています。現在はDAZNがJリーグの放映権を獲得していますが、この際に構築された枠組みがいまも活かされています。


池井戸潤さんの新作小説『俺たちの箱根駅伝』には、箱根駅伝を中継する「大日テレビ」のスタッフたちの活躍が描かれていますが、この小説の中に田中さんが実名で登場しており、当時実際にあったエピソードも作品中に織り込まれています。架空のテレビ局が舞台ではありますが、池井戸さんは日本テレビの関係者に対して入念な取材を行っています。将来ドラマ化もしくは映画化されるんでしょうね。

池井戸さんのインタビューによると、箱根駅伝の小説を執筆することになったきっかけとして「箱根駅伝に関する本を作った編集者から、箱根駅伝にまつわるいろんな話を聞かされたこと」から興味を持ったと答えています。おそらくこの本ではないかと思われるのが『箱根駅伝を伝える テレビ初の挑戦』です。これに記されたエピソードが小説でもいくつか使われています。


この本は2007年に刊行されていますが、『俺たちの箱根駅伝』の単行本が出版されたタイミングで、同じ文藝春秋から文庫化されています。さすが商売上手。おかげで手に入りやすくなったのでありがたいことです。

【お知らせ】現在コメント機能が使えない状態です。感想・意見・誤情報のツッコミ等ございましたら、筆者のX(旧Twitter)までお願い致します。 @flower_highway

0コメント

  • 1000 / 1000