NPBと12球団がMLB視察へ。放映権ビジネスも?

NPB(日本野球機構)と、12球団の代表者がMLBを視察すると発表されました。複数のメディアが報じている記事ですが、その中でも共同通信によると「ネット配信などを含めた放映権ビジネス」などについてMLB側の責任者と意見交換するとあります。

ご存知の通り、NPB12球団の放映権は各球団が個別に管理しています。また、オールスターや日本シリーズはNPBの管理となっています。その中でも、パ・リーグ6球団が共同で設立したPLM社は、各球団の持つインターネット向けと海外向けの放映権を一括管理。自ら「パ・リーグTV」を運営するほか、DAZNなどにも販売しています。


対してMLBですが、全米向けと海外向けの放映権はMLB側で一括管理し、ローカル向けの放映権は各球団で管理しています。


今回の視察によって何かがすぐに変わるというわけではないでしょうけど、今後に向けて何かしらのヒントを与えてくれるものになることを期待します。

日本でも「セ・リーグTV」、あるいは12球団を統合した「NPB.TV」ができないか、という意見はよく聞かれます。一部の球団によって足並みが揃わないというのも事実です。またネット配信についてはDAZN参入後に起こった動きなど、書き始めるときりがありません。


日本において恵まれたと言えるのは、スカパーの放送が始まってからさほど時間が経たずに12球団の全試合放送が実現したことでしょう。衛星放送には当初「パーフェクTV」「ディレクTV」「JスカイB」の3陣営が参入を予定していましたが、JスカイBが自力での参入をあきらめ、パーフェクTVとの合併を決断。現在のスカパーに至ります。ディレクTVは競争力を失い撤退しました。


もし3陣営が競い合う状況であれば、12球団の放映権は分散していたかもしれません。各球団の放映権を持つチャンネルが、結果的にスカパーのプラットフォームにすべてぶら下がる形となり、それが現在まで続いています。


一括管理のメリットとしては、まず煩雑な手続きを一本化できること。全球団の全試合が視聴できることによって視聴者の利便性を高めることがあげられますが、それ以上に「独占」をちらつかせ、競争を促すことで放映権料をつり上げられることがあります。「独占」の2文字がどれだけ重い意味を持つかは、つい昨日EUROでまざまざと見せつけられたばかりです。

しかし、プロ野球は独占させなくてもスカパーのプラットフォームだけで全試合視聴できるのですから、一括管理をする意味が薄いというわけです。もちろん、これがベストだと言うつもりはなく、硬直した現状を打破しないとだんだん競争力を失っていきます。


もし一括管理に移行した場合、スカパーなりDAZNなり、はたまた他の業者とも競争させて1社に独占させることが選択肢となりますが、NPBにとってそれが得策なのかどうか。Jリーグなど他競技の例も参考にしつつ、よく考えていく必要があります。


一方で、海外向けについては早急に一括管理に移行させるべきでしょう。PLM社の取り組みにセ・リーグ球団が乗っていくのが正しい形であるかと思います。



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