ベトナム、パリ五輪の放送なし。タイも直前まで混乱。

大規模な国際大会が開かれるたびに、タイやベトナムでは放映権の問題が出てきます。開幕ぎりぎりまで交渉するのが常態化しているのです。


そして、今回のパリ五輪でも同様に問題が発生し、ベトナムではついに交渉が不成立となってしまいました。ベトナムからは11競技に16人の選手(男子4人・女子12人)が参加するとのことですが、彼らの活躍を国民がライブで観る機会はありません。

2016年のリオ五輪では決着したのは開会式の8日前、そして2021年の東京五輪では2日前でした。オリンピックは商業化が進んでいるとはいえ、世界にあまねく放送してもらう理念はまだ残っているのです。それでも契約が成立しないというのは相当なものです。

タイでは開幕1か月前にあたる6月28日に、AISやTrue Visionsなど複数のテレビ局が共同で放映権契約を結んでいます。また、政府からの支援もあったとのことです。タイではいわゆるユニバーサル・アクセス権の対象としてオリンピックが指定されており、テレビ局は無料での放送が義務付けられています。


しかし、7月17日にタイ政府のNBTC(放送通信委員会)は、SAT(スポーツ庁)が要求していた4.35億バーツの支援を拒否する決定を下しました。結果的にスポーツ開発基金というところが支出することになったそうですが、この時点でオリンピックの放送は一度危機に陥ったのです。

2022年のワールドカップでも直前まで放送が決まらず、NBTCが資金を提供するという出来事がありました。これをきっかけに、タイではワールドカップをユニバーサル・アクセス権の対象から外しています。さすがにオリンピックは自国の選手が多数出場しますから外すことはないでしょうけど、公金の支出に厳しい目が向けられています。


欧米や日本などの大国では放映権料の天井が近づいており、IOCやFIFAの思惑としては東南アジアなど新興国で金額を引き上げていきたいところですが、経済成長がまだまだ追いついていません。さらに、これらの国では違法視聴が蔓延しているという実態もあります。この対策が進まないと高い金額を得ることはできないわけです。

東南アジアにおけるIOCの代理店は電通です。しかし、この契約も今回のパリ五輪で終了し、2026年のミラノ・コルティナ冬季五輪からはinfrontが代理店となります。infrontは電通よりもタフな交渉をするイメージがあり、今後も直前まで決まらないことは続くと考えられます。

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