NBA喪失のWBD、$100億の損失計上。
2024-25シーズンをもって、アメリカ国内のNBA放映権を失うことが確実となっているWBD傘下のTNT Sportsですが、WBDは第2四半期の決算でおよそ100億ドルの損失を計上しています。日本円だと約1.5兆円ですから、なんとも恐ろしい金額です。
そのうち91億ドルはCATV部門の「のれん代」を償却したものと説明されています。のれん代というのはその企業が持つ無形の財産の価値を指し、ブランド力や営業ノウハウなどが該当します。アメリカの会計システムはさすがに詳しくないので細かくは触れられないのですが、CATVの低迷が続き、回復の見込みがないのが現実です。ストリーミングへの移行を進めていく中で、どこかのタイミングで処理する必要がありました。
NBAの放映権には年12億ドルを支出していたとされます。外部から購入したものではありますが、これが無くなることはTNT Sportsにとって看板を失うことであり、今後の営業にも大きく影響を与えるものです。先ほどの「のれん代」の算出にこの件が影響を与えているかは分かりませんが、放映権を失うことが決まったタイミングでついでに減損処理をしてしまおうということではないかと。
この決算発表で株価が大きく下落したWBDですが、その一方で「Venu Sports」のサービス開始が差し止められた件では株価にさほど影響はなかったとのことです。株式市場はVenu Sportsに対して厳しい視線を向けているように思われます。
TNT Sportsで長年にわたって放送されてきた番組「Inside the NBA」についても今後どうなるかが注目されています。日本ではSPOTV NOWが当初の契約を1年前倒ししてプレミアリーグを放棄してしまいましたが、放映権を失うことが決まっている中、どんなモチベーションで放送を続けるのか気になるところです。
すでに番組のフォーマットごと移籍するといったオファーはあるようで、出演者やスタッフはその先を見据えて仕事しています。名物解説者である、元名選手のチャールズ・バークレー氏は当初番組終了後、テレビから引退する意志を示していましたが、最近は柔軟な姿勢に転じているとのことです。
TNT側は、NBAが終了しても引き続き総合的なスポーツ番組として番組を継続させ、バークレー氏も続投させたいと考えているようですが・・・まぁ、よくも悪くもアメリカらしく、放映権が移ろうが人材は流動的になるのでしょう。
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