2陣営に分裂のブラジルリーグ、来季放映権決着へ。
サッカーのブラジルリーグ(ブラジレイロン、ブラジル全国選手権)は、リーグが放映権を一括管理していない、いまとなっては数少ないリーグです。
1部(セリエA)および2部(セリエB)に所属しているクラブは、現在LibraとLFU(Liga Forte União)という2つの陣営に割れ、それぞれが放映権をまとめて交渉しています。本日取り上げるのはLFUのほうで、ブラジル第2の民放局である「Record」と2025年から3年契約を結んだと発表されています。
地上波の中継は、2017年からはブラジル最大の民放局である「Globo」が放送しています。Globoは視聴率で他局と3倍以上の差をつけるガリバー的存在であり、一括管理でなくても事実上独占的な地位を築いていました。
この契約が今年(2024年)で切れることから、一転して事態は混沌へ。放映権の一括管理をめざす動きが生じましたが、今度は分配方針などをめぐりクラブ側がまとまりません。その結果、2つの陣営に割れてしまったという経緯です。
1部(セリエA)に所属する20クラブのうち8クラブが属するLibra陣営は、引き続きGloboと契約を結んでいます。2025年からの5年契約で、放映権料は年11.7億レアル(約304億円)とされています。
一方で、12クラブが属するLFU陣営の交渉は遅れていました。第3の民放局である「SBT」との交渉は決裂に終わり、いよいよ残された時間が限られてきた中で、まずRecordとの契約が発表されました。毎節1試合・年間38試合が対象で、放映権料は年2.1億レアル(約55億円)と報じられています。
この契約は非独占となっており、もうひとつ浮上しているのがYouTubeです。YouTubeにも同じパッケージをほぼ同金額で提案しているとのことで、まとまれば放映権料は合計で年4.2億レアル(約110億円)という計算です。
金額的にはLibra陣営よりも少ないですが、試合数も少なく、他の試合は有料放送向けに別途販売することを狙っています。また、あえてLibraよりも短い3年契約とし、3年後の大幅アップを目論みます。
YouTubeにおいて、実際に配信するのは「CazéTV」のチャンネルです。CazéTVはTwitchなど他のプラットフォームでもチャンネルを持っていますが、この取引にはYouTubeも関与しているため、他では配信されないようです。
CazéTVはブラジルの代理店・LiveModeと、人気の配信者であるCasimiro Miguel氏が共同で運営するチャンネルです。LiveModeはFIFAの代理店を務めており、2022FIFAワールドカップの試合を配信するために開設されました。よって、まだ開設から2年経っていない新しいチャンネルです。
LiveModeは、もちろんテレビ局に放映権を販売しているのですが、デジタル向けの権利の一部を非独占にしてCazéTVに流しています。この作戦が成功し、開設から1年余りでブラジル最大のスポーツチャンネルに。直近ではパリ五輪のライブ配信を500時間にわたって実施したとのことです。
LFUとLibraの各陣営に所属するクラブは以下の通りです。以前お知らせしたリストからひとつ変更があり、コリンチャンスがLibraからLFUに鞍替えしています。ただし、Globoとの契約はコリンチャンスの動向が決まる前に行われており、放映権料も変わらないとのこと。
今後放映権料に関わってくるのは昇降格です。17位以下が降格となりますが、今シーズンの結果によって来年以降のパワーバランスが変わってくることになります。
- LFU陣営(12クラブ) ※順位は8/27時点
- フォルタレーザ(1位)
- ボタフォゴ(2位)
- クルゼイロ(7位)
- バスコ・ダ・ガマ(8位)
- アトレチコ・パラナエンセ(10位)
- インテル・ナシオナウ(11位)
- シュベントゥージ(12位)
- クリシウーマ(15位)
- フルミネンセ(16位)
- コリンチャンス(18位)
- クイアバ(19位)
- アトレチコ・ゴイアニエンセ(20位)
- Libra陣営(8クラブ)
- パルメイラス(3位)
- フラメンゴ(4位)
- サンパウロ(5位)
- バイーア (6位)
- アトレチコ・ミネイロ(MG) (9位)
- グレミオ (13位)
- レッドブル・ブラガンチーノ(14位)
- ビットーリア (17位)
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