U-NEXT、サッカーパックは黒字?法人向け販売も。

U-NEXTは、今シーズンから提供を開始した「サッカーパック」について、法人向けプランの提供を開始したと発表しています。

先日放送された「カンブリア宮殿」にも出てきましたが、U-NEXTはもともと有線放送の会社であり、そこで培った店舗との関係をもとにビジネスの幅を広げています。店舗向けの予約注文システムや、配膳ロボットといった商品もあります。


新たに獲得したプレミアリーグを含め、スポーツコンテンツを強化している狙いのひとつとして、宇野社長は法人向けの展開をたびたびあげています。放映権料の高騰によって料金はどうしても高くなってしまいますが、飲食店などで大勢が集まって一緒に見る文化を広げていこうというわけです。


例えばイギリスではパブで集まってみんなでサッカーを観るのはごく普通の光景とされています。その裏には料金が高くて払えない人たちの叫びがあるわけですが。

さて、U-NEXTが先日公表した2024年8月期の決算説明資料に面白い記述があります。

「8月開始のサッカーパックはプレミアリーグ、ラリーガを含む調達コストを上回り黒字貢献」・・・すなわち、サッカーパックはすでに黒字だというのです。


U-NEXTは今シーズンからプレミアリーグと7年契約を結んでいます。最初の1年はSPOTV NOWが権利を放棄したものですから、今シーズンについてはSPOTV NOWが結んでいた契約内容を引き継ぐものと考えられます。その場合、放映権料は年間2,670万ドル(約40億円)ということになります。


ラ・リーガの放映権料についてはとくにデータがありませんが、プレミアの数分の一程度とみられます。DAZNも契約する非独占の形なので、さらにコストは下がるでしょう。高く見積もっても年5億円といったところでしょうか。もっとも、昨シーズンは通常の月額料金で観られていたのですから、今回の勘定に入れること自体が変な気もします。



ともかく、プレミアとラ・リーガ合わせて年45億円程度と推定するならば、1か月あたりに換算すると約3.7億円になります。実際にはオフシーズンに解約する人も多いでしょうから、それよりも高く見積もったほうがよいのですが、月の収入が3.7億円を上回っていればいちおう黒字だと言ってもよいでしょう。


サッカーパックは月2,600円なので、単純計算だと15万人が契約すれば黒字ということになります。もちろん、消費税だったり番組制作費などのコストを差し引けば、実際の損益分岐点はさらに上がることになります。

SPOTV NOWの参入時は年間9,900円でしたから、プレミアの放映権料をまかなうには40万人以上が必要でした。この計画だと最初から値上げ前提だったでしょうし、そこに急激な円安も打撃となって、当初の3年契約が全うできなかったわけです。


その点、U-NEXTは最初から2,600円の設定でスタートしていますので、今後値上げがあったとしても抑制的になるものと考えられます。ただ、来シーズンからの契約はさらに放映権料が上がることも想定されますので、楽観視もできない状態ではあります。

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