【恒例行事】今年もフィギュアGPSはPPV配信。
すでに今シーズンが始まってしまいましたが、テレビ朝日がフィギュアスケート・グランプリシリーズ(NHK杯を除く)の放送予定を発表しています。今年も関東地区のローカル中継が多く、全国中継は限られています。すべてを観たい人は「テレ朝動画」の有料配信チケットを購入する必要があることも変わりません。
テレビ朝日はここ数年でスポーツ中継をだいぶ減らしています。放映権料の高騰や円安という要因ももちろんあるのですが、いまのテレ朝は日本テレビと視聴率トップの座を争う関係にあり、レギュラー番組を優先し、スポーツを含む特別番組が編成しづらい状況にあります。先日、急遽MLBワールドシリーズの生中継を発表したフジテレビとは立場が違います。
もっとも、今シーズンについては開幕前に日本の有力選手による記者会見がテレビ朝日とフジテレビと共同で開催され、テレ朝からは松岡修造さんがMCとして参加。ちょっとしたやる気を見せていたりもします。
ここ数年すっかり恒例となってしまいましたが、X(旧Twitter)ではテレビ朝日が放映権を手放してほしい、という意見が並びます。しかし、毎年疑問に思うのですが、フィギュアファンはテレ朝が放映権を手放せば、ISUがYouTubeで公式に配信しているライブストリーミングが無料で観られるのだと信じているのです。そんな甘い話じゃないよ、と言いたくなるのですが、このような見解がどこで流布されているのかとても気になっています。
テレ朝が本当に放映権を手放した場合、待っているシナリオは他社が放映権を獲得するか、もしくはどこも獲得しないかのどちらかです。前者の場合、放送しない種目についてはライブストリーミングが解禁される可能性がありますが、基本的にはあまり変わらないでしょう。後者の場合、もともとドル箱市場である日本に対してISUが他国と同様に無料にするかというと、非常に疑問です。
ISUが発表している"2023 Annual Report"によると、2023-24シーズンにおける放映権収入は約2,000万スイスフラン(約34億円)となっています。その他、広告収入が約500万フラン、IOCからの分配金が約1,000万フランとなっています。
https://www.isu.org/inside-isu/financial-and-other-reports
事業的には260万フランの赤字が出ています。ロシアからのマネーがストップしたこと、そしてIOCからの分配金が減額されたことが主な理由です。さらに、債券の金利上昇にともなう評価損や為替差損も計上しています。まだ蓄えがありますのですぐに破綻することはないのですが、財政の立て直しは必須な状況です。
放映権収入のうち約65%がアジアからと公表されており、そのうち多くが日本からによるものと推定されます。日本で放映権を購入しているのはテレビ朝日、フジテレビ、そしてJ SPORTSです(NHKは主催者のため対象外)。J SPORTSは有料放送のため放映権料は安く、テレ朝とフジの2社の負担が大きいものと考えられます。片方が抜けてしまえば、結構な穴となるでしょう。
基本的にはオリンピックが節目となるため、もしテレビ朝日の撤退があるとすれば早くて2026-27シーズンからということになるかと思います。その後、他社がさらに高い金額で買ってくれるという保証はどこにもなく、現実的には下がると考えたほうがよさそうです。
もちろん熱心なフィギュアファンにとってみれば、日本人選手の活躍など二の次で、さまざまな国の選手が素敵な演技を見せてくれればそれでよいのだと思いますが、実際のところ日本からの放映権料やスポンサー料によってISUの財政が支えられていることは事実であり、それがなくなれば身の丈に合った運営をするしかないというわけです。
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