サウジ満願成就。2034W杯決定。
FIFAは2030年と2034年のワールドカップ開催国を正式に承認しました。2030年はスペイン・ポルトガル・モロッコの3か国に加え、100周年記念としてウルグアイ・アルゼンチン・パラグアイでも1試合ずつ開催。そして2034年はサウジアラビアが単独で開催します。
すでに候補は一本化されており、承認するだけではあるのですが、投票も行われなかったとのこと。サウジアラビアについては人権問題をスポーツで覆い隠す「スポーツウォッシング」との声がずっと指摘され続けていますが、それに対する大きな動きはありませんでした。
サウジのこの数年の動きは実に派手でした。今回のワールドカップの招致成功は、これまでの集大成とも言えます。その先に五輪招致も見えてきますが、まずは大きな目標達成です。
サッカーに限定すると、2020年1月にスペインのスーパーカップ(スーペル・コパ)の開催を誘致したあたりにさかのぼります。その後、プレミアリーグ・ニューカッスルの買収に動きました。当ブログでは、カタールのbeIN Sportsの海賊放送である「beoutQ」の問題を追いかけていました。当時サウジとカタールは国交を断絶しており、beoutQのバックにもサウジがいると言われていました。
プレミアリーグ側も買収には難色を示していましたが、サウジ側は結局beoutQへの関与を認めシャットダウン。カタールとの関係修復に努め、国交も回復しました。結果的にニューカッスルの買収も認められたのです。
その次は、自国のプロリーグの強化に動きます。クリスティアーノ・ロナウド選手を筆頭に大物選手の獲得に走りました。かつて発足直後のJリーグが「年金リーグ」などと揶揄されたこともありますが、それとはスケールが段違いです。
最近のニュースとしては、DAZNが来年のクラブワールドカップの放映権をグローバルで獲得したという発表がありましたが、その資金源としてサウジの影がちらついています。サウジがDAZNに10億ドルを出資するという報道があり、両者は否定していますが、結局のところDAZNが単独でポンと出せる金額ではなく、無料配信ということで黒字化できる見込みもありません。中長期的な狙いがあるものと考えられます。
これらの投資の積み上げが、すべて2034年に向かってつながってくるわけですが、順風満帆かというと決してそうではありません。さすがのサウジも資金が無尽蔵というわけではなく、今後は選択と集中が求められます。
サウジの政府系投資ファンド・PIFは、従来資金の30%を国外向けの投資に振り向けていましたが、今後は18~20%程度に縮小する方針です。今後、投資先のスポーツは「リヤド・シーズン」もそうですが、国内で開催されるものが中心となっていきます。
2034年の開催地のひとつともなっている未来都市計画・ネオム(NEOM)についても、最近CEOが交代したと報じられています。理由は公表されていませんが、計画の進捗に遅れが生じているものと考えられます。
これだけの巨大投資は決して金持ちの道楽ではなく、いつか来る石油資源の枯渇に備えてのものです。いわばサウジアラビアと言う国の存亡がかかっているプロジェクトと言えます。2034年というターゲットに向けて、もはや失敗は許されません。
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