IOC次期会長候補・渡邊氏が改革を公約。
来年3月に予定されているIOCの次期会長選挙。現職のバッハ会長はオリンピック憲章で定められている最大12年の任期を満了するため出馬せず、新人7名による選挙戦となります。
そのうちの一人が、国際体操連盟(FIG)の渡邊守成会長です。日本、そしてアジアから初めてとなるIOC会長の座をめざしています。その渡邊氏がロイターのインタビューに答え、オリンピックのマーケティング戦略を全面的に見直すべきだと発言しています。
ご存知の通り、IOCのTOP(The Olympic Partner)であったトヨタ・パナソニック・ブリヂストンの3社がすべて契約を更新せず、日本企業が不在となりました。もちろん東京五輪絡みで発生した汚職に嫌気が差した面もあるでしょうが、それ以前に投資額に見合った効果を得られなかったと各社とも考えているようです。
TOPに参加する企業は契約期間のあいだ、五輪のロゴを独占的に利用でき、各種マーケティングに活用することができます。その一方で、オリンピックの会場では企業のロゴがすべて消されており、他のスポーツ大会では当たり前となっている看板などがありません。
例えばTOPの1社であるコカ・コーラは会場で自社商品の販売や配布を行うことで大きな宣伝効果を得られます。日本企業も現物支給の形で支援していますが、トヨタの電気・水素自動車、ブリヂストンのタイヤ、そしてパナソニックの主に放送向けの機材などは表向きではあまり目立った存在とは言えません。
渡邊氏はジャスコ(現イオン)の元会社員という経歴を持ち、新体操の普及に努めてきました。確かに新体操と言えばイオンというイメージはありますね。そういう当たり前のことが当たり前にできる五輪をめざしたいということでしょうか。ただ、オリンピックもまた企業の看板でいっぱいになるというのもどうかという気持ちもあります。
また、渡邊氏はIOCの決定権は会長と理事会に集中しており、NOC(各国のオリンピック委員会)やIF(国際競技連盟)が決定にあまり参加できていないと述べており、意思決定のプロセスについても改革したいと考えているようです。
会長選は現在111名いるIOC委員による投票で選ばれますが、NOCとIFの枠はそれぞれ15名であり、もっと増やしたいという意向でしょうか。いわゆる「五輪貴族」とも称される委員の影響力を減らすことは大事かと思いますが、票の獲得という点ではどこまで支持を得られるかが鍵となります。
現在のIOC委員は以下の通りです。日本からは渡邊氏のほか、JOC会長の山下泰裕氏、選手委員の太田雄貴氏が選出されています。ただ、山下氏は現在療養中なのが気になります。
いまのところ、どの候補が有力かといった情報は入っていません。世界陸連(WA)のセバスチャン・コー会長が筆頭にあがりますが、67歳という年齢がネックになりそう。渡邊氏も65歳なのでその点では不利となります。
若さという点ではジンバブエ出身の元水泳選手、カースティ・コベントリー氏は41歳であり、初の女性、初のアフリカ出身会長という話題性があります。国際自転車連合(UCI)会長で、フランス五輪委員会会長でもあるダビド・ラパルティアン氏も51歳で有力でしょうか。
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