FIS、CVCからの投資提案を却下。

FIS(国際スキー・スノーボード連盟)は、投資会社のCVCキャピタル・パートナーズから受けていた提案を却下したと報じられています。CVCが、FISの商業権を管理する会社の株式20%を4億ユーロで取得するというものです。

この報道に接したアスリートたちが反応し、FISに反対の意思を示した抗議文を送付したとのこと。これだけの金額が絡んだ案件にも関わらず、プロセスがオープンになっていなかったことが大きな問題となっています。

CVCはこれまでにもラ・リーガやリーグ・アン、そしてラグビー、バレーボール、テニスなどさまざまなスポーツに投資しています。ここ数年の動きは、コロナ禍によってダメージを受けた競技団体に対してマネーをぶら下げる、ある意味ハイエナのようにも見えましたが、今年に入ってブンデスリーガへの投資案件がサポーターの猛反対によって撤回されるという動きも出てきています。

FISはプレスリリースを出し、CVCからの提案を拒否したわけではないが、提案内容に不備があったとしています。また、現在FISは充分な資金を持っており、調達の必要性を感じていないともしています。

さてさて、こういうマネーの話には当然ながら放映権の話も絡んでくるわけです。FISはinfrontと2025-26シーズンまで放映権の代理店契約を結んでいますが、ワールドカップについてすべての大会を一括管理している状態ではないとのこと。例えば、全日本スキー連盟(SAJ)はinfrontと直接代理店契約を結んでおり、FISの管理下にはありません。

https://www.infront.sport/news/sports-media-rights/infront-extends-global-media-rights-to-fis-world-cup-in-japan


そこで、2026-27シーズンからFISによる一括管理をめざしており、新たに8年契約を結ぶ見込みです。infrontはFISに対して6億ユーロの売上を最低保証としてコミットします。これは現在よりも1億ユーロ以上の増額だそうです。現状では、ほぼすべての国の協会から一括管理の同意を得たものの、オーストリアだけが残っているのだとか。


FISは、この件とCVCは関係ないとしています。もしかすると、CVCに放映権を売るのでは・・・といった誤解があったのかもしれません。上述の通り、放映権はFISの商業会社に属するもので、CVCの提案はその会社の株式を購入する形となります。20%なので、会社の経営にどこまで口出しできるかは限定的です。

さて、infrontとの契約によってFISが順風満帆かと言えばそうではないようで、infrontとの次期契約も1年前には公表されていたのですが、最近まで交渉が長引いていました。FISのプレスリリースにも、気になる一文があります。

FIS in full control over the sales process


つまり、infrontに代理権は付与するものの、セールスについてはFIS側ですべて仕切るということのようです。わざわざこの一文を入れた意図を知りたいところです。


この契約はワールドカップが対象ですが、世界選手権は含まれていません。世界選手権の放映権は現在FISの直轄となっています。FISは2028年にも各種目の世界選手権を統合した「FIS Games」なる大会の開催を計画しているようです。この大会の放映権についても今後どうなるか見ていく必要があります。

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