100周年の将棋連盟、伝統と改革の狭間で。

今年100周年を迎えた日本将棋連盟は、羽生善治会長のもとでさまざまな企画が行われている一方、時代の節目を感じさせる出来事が立て続けに起こっています。


東西で新しい将棋会館がオープンしたのは明るい話題です。リニューアルで椅子での対局ができる部屋が常設されたとのことですが、先日渡辺明九段がひざの手術を受けるために1か月休場するというニュースが。その前の対局では本人の申し出により椅子による対局となったのですが、途中で激しい痛みに襲われ、自ら投了するという珍しい出来事が起きていました。


趣味のフットサルでひざの前十字靭帯を断裂したことが直接の原因ですが、もともと正座が多かったせいか7割ほど切れており、半月板も損傷していたとのこと。当初は6月に手術を予定していましたが、同時期に開催される王位戦の挑戦者となったため延期していたそうです。強い人ほど対局数も多く、職業病に悩まされることになります。

女流の白玲戦は、挑戦者の福間香奈女流五冠が妊娠中であることから、全局椅子対局で実施されました。タイトル戦が椅子対局になるというのは非常に珍しい事例です。しかし、第5局・第6局が福間女流の体調不良により不戦敗となるという残念な幕切れとなってしまいました。

妊娠による休場の例は以前からあるものの、タイトル戦を戦うレベルの女流棋士となるとスケジュール調整が大変です。今年は室谷由紀女流三段も休場によって挑戦者決定戦まで進んでいた倉敷藤花戦を断念せざるを得なくなりました。


当然ながら最大限の配慮をすべきである一方、棋士・女流棋士はサラリーマンではなく自営業者であり、また棋戦は多くのスポンサーの協力によって成り立っている以上、どうしても限界があることは事実です。将棋もプロスポーツのひとつであると認識していますので、他の競技の事例も参考にしつつ、適切な落としどころを見つける努力が求められます。

棋士と女流棋士は別々の制度ですが、現在棋士編入試験に挑戦している西山朋佳女流三冠は先日の対局に勝利し2勝2敗のタイに。1月に予定されている最終局は人生を変える大一番となります。実力の世界なので自力で勝って道を切り開くしかないのですが、もし女性初の棋士誕生となれば、将棋界にとって画期的な歴史の1ページが刻まれます。

【お知らせ】現在コメント機能が使えない状態です。感想・意見・誤情報のツッコミ等ございましたら、筆者のX(旧Twitter)までお願い致します。 @flower_highway

0コメント

  • 1000 / 1000