【速報】DAZN、豪Foxtelを買収。
通常、クリスマス休暇の頃には海外からのニュースはほとんどなくなってくるのですが、今年は年末もガンガン動きがありますね。
ということで、以前から話にはあがっていたのですが、DAZNがオーストラリアのFoxtelを買収することが正式に発表されました。DAZNにとっては、スポーツだけでなくエンターテインメント全般のコンテンツを取り扱い、そしてストリーミングだけではなく有料テレビチャンネルを運営している業者を買収するという初の事例になります。
DAZNは珍しく日本語でもプレスリリースを出していますので、以下のURLからご参照ください。これはAPAC担当でもある笹本CEOの案件ということなんでしょうか。
現在、Foxtelの親会社はあの「メディア王」ルパート・マードック氏が設立したニューズ・コーポレーションであり、株式の65%を保有しています。また、大手通信会社のTelstraが残りの35%を保有しています。この2社がFoxtelに貸し付けている債務をDAZNが現金で返済するとともに、DAZNの株式を2社に割り当てます。
- ニューズ・コーポレーション (Foxtelの株式65%を保有)
- 現金5.78億豪ドルを支払い債務を返済
- DAZN株式の約6%を割り当て
- 取締役を1名派遣
- Telstra (Foxtelの株式35%を保有)
- 現金1.28億豪ドルを支払い債務を返済
- DAZN株式の約3%を割り当て
Foxtelの買収総額は34億豪ドル(22億米ドル、約3,300億円)と発表されていますが、その一部をDAZNの株式で支払う形です。まぁ、いまのDAZNにはそんなにまとまった現金があるとも思えませんので、そうなりますよね。そこに噂されているサウジからの出資が加われば、DAZNの株主構成は大きく変化することになります。
Foxtelが経営難だという話は、かれこれ5年以上前から出ておりました。苦境に陥った原因は、ご多分に漏れずNetflixなどストリーミング勢が台頭したことや、一部出資していた地上波局「Network Ten」が経営破綻したことなどがあげられます。
しかし、Foxtelも「Kayo Sports」や「BINGE」といったストリーミングを展開し、またWBDと提携してコンテンツを引き込むといった策によって回復の気配を見せていました。逆に言えば、今こそが売り時だとも言えます。
マードック氏が昨年引退したことや、WBDとの契約がまもなく切れ、更新の見込みがないことも理由としてあげられます。その際には「Max」がオーストラリアに上陸することになりますが、新たなライバルが登場する前に売却したいというのは賢明な判断かもしれません。
DAZNの親会社であるアクセス・インダストリーズは、ワーナー・ミュージックなどエンタメ産業の企業にも投資をしているため、そこから新たな経営陣を送り込むものと考えられます。
DAZNとしては、創業以来スポーツに特化したストリーミングサービスとして独自の地位を築いてきましたが、ビジネスモデルに限界を感じているのかもしれません。もし、総合エンタメ企業への脱皮を狙うのであれぱ、経営方針が大幅に変化することになります。
DAZNは隣国ニュージーランドでも欧州CL/ELの放映権を獲得し、本格的な進出を果たしています。今後はオーストラリアとニュージーランドの両市場を合わせて、効率化をはかっていくことになりそうです。人口はさほど多くありませんが、ラグビーなどのフットボールやクリケットといった魅力的な競技がありますので、他国との連携も期待したいところです。
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