JRAもフジテレビのCM差し止め。

フジテレビの問題によってCM出稿を差し止める企業はさらに増加しており、JRA(日本中央競馬会)も名を連ねています。


ご承知の通り、フジテレビは60年以上にわたって日曜の競馬中継を続けてきた切っても切れない関係なだけに、これは相当重い措置です。

当ブログで取り扱っている放映権ですが、多くは放送局が主催者に対して支払うものです。しかし、競馬中継については主催者であるJRAが放送枠を押さえる形で成立しており、いわば1社提供のような関係性と言えます。これまで当ブログが扱ってきたケースとはかなり外れているだけに、今後の予測は非常に困難です。


1社提供と言えば、キッコーマン提供の長寿番組「くいしん坊!万才」が放送休止になると報じられています。CMの差し止めだけならば、ACジャパンに差し替えるだけで簡単にできるのですが、1社提供の番組そのものを止めるというのもまた大きな出来事です。

前回フジテレビ関係を取り上げた記事では、ロシアの戦争によってF1やプレミアリーグの放映権が取り消された話を書きました。裏を返せば、それくらいの大事でないと取り消しという出来事は起こらないとも言えます。ただ、ロシアの放映権は取り消されましたが、イスラエルは取り消されていませんから、このあたりの判断は政治的なものです。


コンプライアンスの問題で契約が取り消された話で言うと、当のフジテレビがRIZINや「THE MATCH」の放送を取り止めたことを思い出します。これらは反社絡みが問題視されたものでした。現在は契約書に「反社条項」を入れることが普通になっていますので、直ちに契約を取り消すことができます。


ただ、今回のケースで一方的に契約を取り消すことが果たして可能なのかは、今後の推移を見守っていく必要があります。CMを取り下げた分は一般的に返金されないとされていますが、今回はフジテレビ側の責任という珍しいケースなだけに、返金を求める声は今後あがるでしょうし、訴訟に発展する可能性も充分です。

テレビ・ラジオの中継に関する契約は、基本的に年度ごとに結ばれます。JRAのWebサイトで公開されている「工事・調達情報」のサイトをチェックすると、ときどき公募や入札の情報が出てきます。

https://jra.jp/company/product/


最近だと以下のようなものが出てきました。ここでは電通がすべて落札していますが、他の案件では博報堂など他の広告代理店も落札していますのであしからず。

もしフジテレビとの契約が止まるという事態になったとしても、関西テレビなど他の系列局まで道連れにすることはないかと思います。その場合、関東エリアの人たちにどうやってレース結果を届けるのか。グリーンチャンネルを開放すると、関東以外の放送局にとっては迷惑となります。他の放送局にしても、日曜午後3時からの1時間枠を毎週確保しなければならないというのは柔軟性に欠けますので、簡単な話ではありません。


それでも、公的機関であるJRAがコンプライアンスに敏感であれば、止めるという決断を下すかもしれません。ただ、これまで続いてきたものを止めるのにはきちんとした理由が必要であり、単にCMを止めるよりははるかに大変なことです。

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