【祝】大坂なおみ選手全豪制覇(3): 地上波で流す意義

こちらは(1)の記事で予告していた話になります。

全豪オープンにおいて、NHKは大坂選手・錦織選手の試合を1回戦から地上波で生放送。また、男子決勝も録画ではありますが地上波で放送しました。

普段だったらBSで放送しても全然おかしくないのですが、これだけ地上波にこだわったということは、もともと放映権を取得していたWOWOWとの棲み分けがありそうです。


NHKとWOWOWの棲み分けについて考えられるのは「地上波/衛星波」「無料放送/有料放送」のどちらか。両方という可能性もあるのですが、とりあえず前者はあったのではないかと。そうでなければ、1回戦から地上波というのは考えにくいです。

なお、受信料制度で運営される公共放送であるNHKは通常無料放送のカテゴリーに入ります。それはイギリスのBBCも同じ。また、税金で運営される国営放送についても同じです。

よくNHKのことを「国営放送」と言う人がいますが、それは単純に知らないか、それともNHKの放送内容に批判的な人が揶揄する意味で使っているのでご注意を。


さて、ここで考えておくべきもうひとつの視点が。「ユニバーサルアクセス権」です。


「知る権利」とも呼ばれますが、国民にとって重要な情報については誰でも自由にアクセスできるようにすべき、という権利のこと。

とくに重要なのは政治に関する情報です。民主主義においては選挙権を持つすべての国民に対して、投票先を選択するために必要な情報を提供することが義務。NHKはその役割を担う機関であり、公平・中立の姿勢が大原則。また、生活保護世帯などには受信料の減免措置を講じたり、字幕放送や手話放送といったさまざまな施策を行っています。

で、最近はこの権利がスポーツへと拡大されて「ユニバーサルアクセス権」という言葉がよく使われるようになってきました。実際、国によってはこの権利を法律として盛り込んでいるところもあり、上記で紹介した記事ではイギリスの事例が紹介されています。今後もこの動きは多くの国へと広がっていくでしょう。

おそらく日本もこの波に巻き込まれることは確実であり、NHKの存在意義が改めて問われることになってくるでしょう。地上波は日本のほぼすべての世帯をカバーできているので、国民的関心事であろう今回の試合を地上波にもってきたことには一定の意義があるわけです。


ですが、そういっても生中継の放映権料は一般的に録画よりも高く設定されており、そんなにたくさん買うわけにもいかないわけで。

生中継する競技、録画中継する競技、民放や有料放送に任せる競技の区分けをどのようにしていくか。視聴率という物差しにとらわれる必要のないNHKなだけに、その考え方には今後も注視していく必要があります。


※なお、CATV等を経由したものも含め、NHKのBS放送が見られる世帯は約75%とのこと。しかし、受信料の衛星契約をしている世帯は約50%なんだそうで…うーん、払ってない人多いですね。

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