【検証】フォーミュラE、米の視聴者数がF1超え?
「フォーミュラEがアメリカでF1の人気を上回った」という記事が掲載されています。多くの方が本当に?と思われたかと思います。
ということで、今回はこの件を検証するのですが、先に結論を述べておきますと、主催者の釣り見出しに加え、メディアがさらに適当な釣り見出しを付けるという、釣りの増幅が起こったと言ってよいでしょう。
以下がフォーミュラEの公式プレスリリースですが、ここに書かれているのは、1月11日に開催されたメキシコシティE-Prixのアメリカでの視聴者数が1,050万人に達したこと。そして、この数字は昨年のF1ラスベガスGPよりも80%上回ったということです。
昨年のラスベガスGPはESPNで放送され、決勝レースの視聴者数は90.5万人だったと報じられています。この数字は初開催だった前年よりも30%下回るもので、急成長してきたアメリカのF1人気にも陰りが出てきたとみられます。
上の1,050万人という数字とは20倍近い開きがありますので、計算が合いません。これはどういうことかと言うと、大きな違いが2点あります。
ひとつは、フォーミュラEが発表している数字は「累計視聴者数」で、これは1分以上視聴した人をすべてカウントしたものです。対してF1の数字は「平均視聴者数」で、毎分の視聴者数を平均にしたものです。
そして、もう1点は調査会社の違いです。フォーミュラEはカンター、F1はニールセンの調査によるものです。カンターも世界的には大手の調査会社なのですが、アメリカにおいてはニールセンの数字のほうが一般的に使われます。
カンターが調査したF1の数字もありまして、平均視聴者数が154万人、累計視聴者数が577万人だそうです。90万人と154万人、調査会社が違うと数字もこんなに異なるのですね・・・
これをふまえたうえで、さらなる両者の違いを観ていくと、フォーミュラEはCBSで無料放送されています。アメリカ大陸で開催される5レースについてはCBSが放映権を獲得しており、他のレースについてはSTB大手の「Roku」が権利を持っています。
また、ラスベガスGPは現地時間の22時という遅い時間のスタートでした(フォーミュラEは14時)。アメリカ東部時間だと午前1時になってしまい、さすがにライブでの視聴は少なかったでしょう。こんな時間になったのは、ヨーロッパで見やすい時間にするといった思惑が含まれていたものと思われますが、さすがにF1側も反省したのか、今年は20時スタートに繰り上がりました。
カンターによると、昼開催、かつABCで無料放送された昨年のマイアミGPは、累計視聴者数が1,125万人だったとのことです。フォーミュラEとしてはこちらが次のターゲットになります。だいぶ迫ってきていることは事実ですので、こんなセコい見出しを付けなくても、もっと堂々とアピールしたほうがよいのでは・・・と思ってしまうのですが、どうなんでしょ。
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