WBDが白旗? スポーツもう無理しない宣言。
WBD(ワーナーブラザーズ・ディスカバリー)は、今後のスポーツコンテンツ事業の戦略について「規律ある」(disciplined)ものであり続けると述べています。すなわち、無理して背伸びをするつもりはないという意思表示であり、マネーゲームから一歩引く構えです。
WBDはNBAの放映権を今シーズン限りで失うことが決まっていますが、裏を返せば巨額の負担を免れることができます。試合の生中継はできなくなりましたが、映像の使用権は引き続き保持し、今後も関連番組を制作します。また、看板番組「Inside the NBA」についてはESPNに移動しますが、引き続きWBD傘下のTNT Sportsが制作を請け負うとのことです。
最近起こったもうひとつの大きな出来事は「Venu Sports」のプロジェクト中止です。WBD・ディズニー・FOXの3社合弁で開始されるはずだったスポーツ専門のストリーミングサービスは、競合他社からの差し止め訴訟に敗れたことなどが理由でローンチに至りませんでした。
WBDのストリーミングサービスである「Max」も新たな対応を迫られています。Maxはスポーツ専門のオプションである「B/R Sports」を有料(月9.99ドル)で提供する予定でしたが、その計画を撤回しました。
その替わりに、3月30日からはもっとも安価な広告付きプランにおいてB/R Sportsのコンテンツが視聴できなくなります。事実上のプレミアム化です。単独で課金するのは難しいと判断したようです。
合弁相手だったディズニーとFOXも別々の道を歩み出しています。ディズニーは"Flagship"と称される、ESPNのストリーミングを開始する予定です。また、FOXも新たに有料のストリーミングを始める計画です。
"Flagship"をめぐり、最近ESPNに関連するニュースが増えています。ESPNは従来、他のカテゴリーのチャンネルとセットで提供するビジネスモデルでしたが、Flagshipにおいてはスポーツ単体で勝負する必要があります。観たいものだけ観たい、欲しいものだけ買いたいという消費者の要求に応えることは大切ですが、スポーツのコストがどんどん増加しているいま、果たして成立するのかが問われているわけです。
その点、WBDは結果的にコストを抑えることができたため、スポーツ単体で勝負することを避ける判断をしたことになります。さて、どちらの判断が正しいのでしょうか。
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