ESPN、決裂のMLBに$2億提示? 旧Ballyにも接触。
MLBとの放映権契約を今年限りで解除することとなったESPNですが、MLBとは放映権料の減額を求めていたとされています。The Wall Street Journalの報道では、現在の放映権料である年間5.5億ドルに対し、ESPN側は年間2億ドル以下を提示していたとのことです。
MLBはESPNと再交渉はせず、他の契約先を探す方針ですが、さすがにこの提示額は喧嘩上等だと思われても仕方ないような気がします。
2021年までの契約では、ESPNの放映権料は年間7億ドルでした。2022年に新たな契約を結ぶにあたり、ESPNは権利の一部を手放しています。MLBは新たにAppleとNBCユニバーサルの2社と契約を結びましたが、前者の放映権料は8,500万ドル、後者は3,000万ドルで、合計すると1.15億ドルです。ESPNは自らの減額分である1.5億ドルを下回ったことにがっかりしていたようです。
NBCユニバーサルの契約は2年契約であり、それが満了した2024年からはセットトップボックス大手の「Roku」に移動しています。金額は非公表ですが、従来の3,000万ドルには満たず、1,000万ドル程度という説も出ています。ESPNにとっては、MLBの価値がどんどん落ちているように見えたことでしょう。
かと言って、ESPNはMLBの放映権が不要だと言っているわけではありません。秋には新しいストリーミング"Flagship"のローンチを控えています。NFLやNBAの放映権が目玉となりますが、これらのシーズンが終了した後は、やはりMLBのコンテンツがあったほうがよいわけです。NFLとNBAにお金を突っ込み過ぎて、余裕がなくなっているとも言えます。
ESPNはMLBに対し、減額だけでなく一部チームのローカル放映権を引き渡す条件を提示していたとされます。これは、Bally Sports(現在はFanDuel Sports)の破綻処理にともない、MLB直轄となっていたものです。
破綻処理が終了したFanDuel SportsはAmazonと提携しましたが、独占契約ではないとのことで、ESPNもFanDuel Sportsに接触していると報じられています。この方法であれば、一部地域に限られるものの、MLBのコンテンツを獲得できることになります。
NFL、そしてNBAの新しい契約によって、MLBの放映権料は全米プロスポーツの3位に下がりました。上述のBally Sportsも含め、RSNと呼ばれるローカルのスポーツ放送局についても揺らぎが生じていることは事実です。ただ、今回の件についてはESPNの自己都合的な部分も大きいように感じます。
MLBとしては他社との交渉でなるべくよい条件を引き出すとともに、2029年以降の新しい契約でNBAに少しでも近づきたいところ。それ故に、ESPNに対して退くわけにはいきませんでした。MLBは、今回の選択が正しかったことを自ら証明する必要があります。
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