ナショナルズvs.オリオールズ、和解成立。

MLBのワシントン・ナショナルズとボルティモア・オリオールズは、合弁で設立したローカル放送局・MASN(Mid-Atlantic Sports Network)の放映権料について争っていましたが、このたび和解が成立したと発表しました。


和解条件は以下の通りです。金銭的な決着については明記されていないのですが、訴訟をすべて取り下げるわけですから、ナショナルズ側への支払いは確保されるのでしょう。今年(2025年)については5,380万ドルと報じられています。


  • 2026年以降、ナショナルズはローカル放映権を他社に販売することができる
  • 今年(2025年)はMASNと単年契約を結ぶ
  • ナショナルズはMASNの持ち株(24%)を手放す
  • 現在提起されている訴訟はすべて取り下げる

本件の経緯は、以前書いた記事でも簡単に説明したのですが、正直複雑なのですべてを説明しきれてはいないと思います。2005年にモントリオール・エクスポズが移転し、ワシントン・ナショナルズになった時、隣接するオリオールズとの権益問題を解決するために、MLBの仲介で作られたのがMASNです。それから20年間、つねに紛争の火種が燻り続けていました。


RSN(Regional Sports Network)のビジネスモデルはCATVの契約数が減少する中、転換期にあります。旧Bally Sportsは破綻し、FamDuel Sportsに生まれ変わりました。また、WBDがRSN事業から撤退し、いくつかの放送局を売却しています。それらの動きを受け、RSNとの契約を解除し、地元の地上波などで放送させるチームも出てきています。


MASNの存在は両球団の手足を縛る存在でもありました。そこにRSNの問題が加わったことで、誰にとっても得をしない状況になっていたと言えます。昨年オリオールズのオーナーが亡くなり、球団が売却されたことで姿勢が軟化したとも報じられています。

ナショナルズの次の放送局の候補として名前があがっているのがMonumental Sports Networkです。NBAのワシントン・ウィザーズ、NHLのワシントン・キャピタルズなどのローカル放映権を保有しています。2023年までは「NBCスポーツワシントン」という名前でしたが、両球団のオーナーであるテッド・レオンシス氏が買収し、名前を変更しました。


2022年にはナショナルズの売却案が浮上し、レオンシス氏が候補にあがっていたとのこと。もし、この話が再燃するようであれば、改めて有力な候補となります。

RSNのビジネスモデルはこの数年で傷ついたものの、死んだというわけではありません。ストリーミングへの転換によって活路を見い出そうとしています。また、MLBは主要な放映権契約が切れる2028年をめどに、ローカル放映権の直轄化をめざしているとされます。ESPNのオプトアウトという問題もありますが、いまのうちに膿を出し切る覚悟が必要です。

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