Jリーグ、各クラブ決算が開示。移籍金も。
Jリーグは、全60クラブのうち58クラブの2024年度決算を公表しました(決算時期が異なる柏・湘南を除く)。58クラブ中48クラブが増収となり、合計の売上高は前年から14%増加して1,649億円に達したとのことです。
毎年この時期に公開される恒例行事なのですが、今年の特徴としては初めて「移籍関連費用」として、移籍金などの内訳が明示されたことです。来年からのシーズン移行は、海外からの移籍金増加が大きな狙いとなっているため、それに先行して開示する方針になったようです。
なお、移籍金収入については当年に計上されますが、支出については当該選手の契約年数に応じて減価償却(分割で計上)されるとのことで、実際に移籍が発生したタイミングとはずれが生じるとのことです。(奈良クラブ・濱田代表のXより)
残念ながら、現時点でJリーグのWebサイトには反映されていません。理事会後の記者会見でメディア向けに配布されたものと思われます。詳細については各クラブのWebサイトの情報を確認する必要がありますが、クラブによってはまだ公表していないところもあります。
売上高最多となった浦和レッズを例にとると、2年連続で100億円を超え、昨年は102.1億円となっていますが、昨年(103.8億円)をわずかに下回る結果となっています。これはACLの出場を逃したことや、悪天候によりホームの試合が延期され、平日に振り替えられたことが影響しています。
逆に増えたのは「Jリーグ配分金」の項目で、コロナ禍で取りやめとなっていた「理念強化配分金」が復活したことが主な要因です。なお、出場権を剥奪された天皇杯についてはJFA主管のため影響は軽微のよう。
今年はクラブワールドカップの出場料が入るため、大幅な伸びが期待されますが、その一方で入場料収入やスポンサー収入には天井が見えてきた感もあり、さらなる打ち手が必要なようにも感じます。
先日取り上げた書籍『スポーツチームの経営・収入獲得マニュアル』には、「親会社の支出を推定する」というなかなか刺激的な内容が含まれています。クラブの買収価値を推定するために必要だという理由ですが、スポンサーとしての関与にとどまらず、あまり触れられなかった「赤字の損失補填」にも切り込んだものです。
この本では、移籍金については概算せざるを得ず、「その他の収入」が5億円を超えていると損失補填が行われている可能性あり、というおおよその基準を示していましたが、今回移籍金の内訳が公表されたことでより具体的な推定ができそうです。
浦和レッズの「その他収入」は18.1億円で、今回公開された移籍金収入は11.9億円なので、差し引くと6.2億円となります。その他収入の内訳としては、賞金、アカデミー・スクールからの収入、スタジアムの指定管理費などが含まれます。
本の内容を詳しく書くことはできませんが、この本では浦和レッズについて、親会社の三菱重工および、グループ会社(三菱自動車など)からのスポンサー料が10数億円に達していると推定する一方、損失補填は行っていない可能性が高いとしています。おそらく、今回出てきた6.2億円という数字も妥当な範囲に収まっているのではないでしょうか。
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