池上彰解説でプロスポーツをアップデート。
昨日(6/21)、テレビ朝日で放送された「池上彰のニュースそうだったのか!!」で、珍しくスポーツビジネスが題材とされており、放映権の話も出てきました。ということで、当ブログでもいくつか補足してみます。
映像はTVerで視聴できます(おそらく1週間程度)。1時間23分頃から約6分間放送されました。
最初は「日本にプロスポーツが増えた」という話題から始まり、8つのプロリーグを紹介しています。昨年発足したハンドボール・リーグHはプロリーグに含める一方で、ラグビー・リーグワンやバレーボール・SVリーグは「プロリーグではない」としています。
このあたり、何をもってプロリーグと定義するのかが微妙な問題です。選手が(一部例外を除き)プロ契約を結んでいる、かつチームが独立した法人であるといったところが定義になるかと思いますが、リーグHにおいても独立法人化は2027-28シーズン以降必須とされており、まだ努力目標の段階です。
次に出てくるのが、収入源の話です。Jリーグの収入の約4割、Bリーグの収入の約5割がスポンサーからである一方、WEリーグの収入の約4割が「補助金」であると紹介されているのですが・・・これ、前者はクラブの収入であるのに対し、後者はリーグの運営組織の収入の話をしているので、本質的には違うものを比較しています。
また、補助金の出どころとして「toto」などのサッカーくじをあげていますが、WEリーグの最新の決算情報(2024年6月期)によると、日本サッカー協会(JFA)からの補助金が4億2,500万円であるのに対し、サッカーくじを運営する日本スポーツ振興センターからの補助金は2,000万円ですから、割合としては多くありません。
なお、JFAの収入源の多くは日本代表戦や天皇杯などの事業収入であることも申し添えておきます。
日本と海外のプロスポーツの比較という観点で、いよいよ放映権料の話が出てきます。イングランド・プレミアリーグの放映権料は収入の約6割を占めており、Jリーグの約35倍という説明がされています。プレミアリーグの放映権料は年間35億ポンド(約6,900億円)、Jリーグは年間210億円程度なので、正しい説明と言えます。
その次に、NPBが年間500億円、MLBは6,000億円であると説明されていました。出典は今年2月19日の日経新聞であり、この記事以外でも日経新聞はたびたびこの数字を出しています。
MLBについてはMLB本体(全米および海外向け)の放映権料が20億ドルほど、各球団のローカル放映権も20億ドル程度とされていますので、総額40億ドル(約6,000億円)という説明は正しいと言えます。ただ、NPBについては各球団の情報公開が不足していますので、完全に推定であり、どこまで正しいかは分かりません。
東大卒のプロ野球選手として知られ、その後ソフトバンクで球団経営に携わった小林至桜美林大教授によると、NPBの放映権料は300億円程度だとのことで、日経の500億円とは大きな開きがあります。どちらがより正確なのか、我々には判断できる材料がないのが現状です。こればっかりは、NPB各球団に情報公開を進めてもらうしかありません。
こうやってみると単にケチばかりつけている面倒なオジサンのように思われてしまいますが、分かりやすく説明してくれる人やメディアの存在はありがたいものです。筆者は筆者なりの役割を務めているにすぎません。また、これをきっかけに関心を持ってくださった方に対しては、自ら学習を深めていけるような材料を提供していければ幸いです。
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