英議会、プレミア無料放送案を否決。
イギリスの下院(庶民院)は、サッカーにまつわるいくつかの法案の採決を行っています。
もっとも重要な法案は「フットボールガバナンス法案」と呼ばれるもので、賛成多数で可決されました。これはプレミアリーグ、EFL(2~4部)、そしてナショナルリーグ(5部)を管轄する機関を設けるというもので、それぞれの利害を調整するとともに、クラブの経営状況の透明化をはかることで、より持続可能な運営を行うことを目的としています。
また、プレミアとEFLの間で紛争が発生した時には、強制的に介入できる権限が与えられるとのことです。
その一方で、否決された法案もあります。ひとつは、1985年に制定された客席での飲酒を禁止する法律を廃止するというものです。この年にはいわゆる「フーリガン」による暴動が頻発。ベルギーで発生した「ヘイゼルの悲劇」では39人が犠牲となり、UEFAはイングランドのクラブに対して出場禁止処分を下す事態となっています。
それから40年。各クラブはスタジアムの空気の改善に努めてきました。客席の外では飲酒が可能なため、多くの客がキックオフ直前になだれ込むことでかえって危険との声もあがっていたそうですが、今回は(も?)見送りとなっています。
「プレミアリーグに対して、年間10試合以上の無料中継を義務付ける」という法案も否決されました。スポーツを公共財と定義し、国民にとって重要な大会については無料放送を義務付ける、いわゆる「ユニバーサル・アクセス権」の対象として加えようというものです。
サッカーではワールドカップやEUROの全試合、FAカップの決勝戦などが対象に指定されていますが、リーグ戦をそこに含んでいいものかどうかはまだまだ議論の余地があるようです。公共性と商業のバランスをどこに置くかは、各国共通の課題と言えます。
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